2010年7月27日(火) 17:21

「新自由主義政策」の市場原理主義がもたらしたもの

2008年1月に刊行された『ルポ貧困大国アメリカ』(堤未果)は大評判になり、その年の夏までには20万部を超え、今もよく読まれている。この書が取り上げる「新自由主義政策」の市場原理主義がもたらしたものを知ることは、何につけアメリカの後追いをしてきたわが国の現状と将来を考える上で重要である。    ▼ 著者は「所得格差を拡大させている市場原理主義は、中間層を消滅させ、下層に転落した人々が社会の底辺からはい上がれない仕組みを作りだした」と指摘する。貧困率は年々上昇、2006年度の時点で6000万人のアメリカ国民が、1日7ドル(約600円)以下の収入で暮らしている。飢餓状態を経験した人口は3510万人である   ▼医療費は高く、盲腸手術をして1日入院するとニューヨークでは243万円かかる。「一度の病気で貧困層に転落する人々」を著者はルポしている。「持たぬ者が医者にかかれず、普通に働いている中流の国民が高すぎる医療保険料や治療費が払えずに破産し、善良な医師たちが競走に負けて次々に廃業する」。そんな不条理な状態を、「全米医学生協会」は告発している   ▼教育格差は広がり、高校を卒業しても就職できない若者たちは入隊する。しかし、帰還後も生活はよくならない。「アメリカ帰還兵ホームレスセンター」によると、2007年現在350万人のホームレスがおり、その3人に1人は帰還兵である   ▼状況は想像以上に悲惨である。もって「反面教師」としたい。