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2010年11月6日(土) 23:30

サシバ保護活動から37年/宮古野鳥の会

観察の歩み着実に


サシバ(「宮古野鳥の会」提供)

サシバ(「宮古野鳥の会」提供)

 1974年、宮古野鳥の会は誕生した。それまで、野鳥に対する価値観は、食糧としてのタンパク源か、猟友会の仲間が剥製にして自慢しあう程度のものだった。72年の本土復帰に伴い、沖縄県にも鳥獣保護法が適用され、毎年寒露のころに飛来するサシバもこれまでの狩猟鳥から保護鳥になった。世界的な環境問題が問われる中、次第に愛鳥思想の普及啓蒙が盛んとなる。特に児童生徒への環境教育として、教師たちを中心に宮古野鳥の会は発足、毎年サシバの数をカウント、今日に至る。37年間の歩みはデータとして残され、それぞれの時代背景を知る上でも貴重な資料となっている。



 サシバの飛来は、いつ頃からかは定かでないが、古謡やわらべうたに歌われ、ことわざや昔話などにも登場することから、かなり古い時代から民衆に愛される身近な野鳥として存在していたことがわかる。本土復帰以前、サシバは運動会のシーズンに空を真っ黒にするほどやってきたという。大人から子どもまでその捕獲に躍起となり、大量捕獲して市場などで売られる風景は風物詩ともなった。

30年余続けられている親子自然観察会。解説は仲地会長(左)

30年余続けられている親子自然観察会。解説は仲地会長(左)

 男の子たちは、サシバを買ってもらい、友人らと飛ばしあってペットのように扱った。遊びに飽きたら、調理されタカ雑炊となって当時の貧しい食卓を潤した。こうした長年の慣習は、サシバが国際保護鳥となっても、なかなか捕獲禁止は浸透せず、県の自然保護課は77年、宮古野鳥の会、警察、教育委員会、各市町村の協力を得て、10月を「サシバ保護月間」と定め、活動を展開した。


最近では本土の野鳥の会もサシバ観察に来島するようになった=平良字久松

最近では本土の野鳥の会もサシバ観察に来島するようになった=平良字久松


 各地でサシバの密猟はなかなか止まず、県や野鳥の会が中心となって根気強いパトロールや講演会が実施された。中学校では、生徒会が母親の会を巻き込んで地域ぐるみの保護活動を盛り上げたこともあった。後に当時の中学生たちが社会人となりサシバの保護活動に協力、90年代に入ってようやく密猟は収まる。93年、旧伊良部町教育委員会が協力して「第1回サシバは友だちフォーラム」が開催される。訴え続けたサシバの保護思想は20年余にしてやっと地域に定着した。


 現在、野鳥の会の登録メンバーは39人。会長の仲地邦博さんは「誰もが自然に親しむ活動の企画を展開し、愛鳥思想の啓蒙普及に努め、鳥類の保護調査、宮古の自然環境の保全活動を目指したい」と話す。77年に、旧宮古支庁林務課とタイアップしてスタートした「親子自然観察会」は、活動の一環として今も引き継がれている。


サシバに魅せられて/二代目会長の久貝勝盛さん


会発足に尽力、今なお活動を続ける

会発足に尽力、今なお活動を続ける

 宮古高校在任中に野鳥の会発足のきっかけをつくる。「当時、サシバは乱獲され、商品扱いだった。宮古は日本の3大密猟地の一つに数えられ、教育上も良くないし、何とかしたいと校内で生物クラブを立ち上げた。島中で保護する方向に、まず生態の調査を始めた」と、発足当初を語る。
 伊良部高校に勤務した7年間は生徒たちと父母を動かし、サシバ保護に地域を網羅した活動を実践、高く評価された。会員と共にサシバ渡りの観察とカウントは40年近く行われている。「長年のカウント調査は、日本でもまれな活動として評価されている。データは、渡りや繁殖の状況を知る上で貴重な資料になると思う」と話し、これまで日本鳥類保護連盟の専門員として、多くの調査・研究内容を学会で発表している。


サシバが好きだから続けられる/砂川友弘さん


会長を補佐して会活動の中心的役割

会長を補佐して会活動の中心的役割

 野鳥の会に関わって27年。鳥が好きだということと、マスコミという仕事柄、自然に野鳥を追っていた。毎年、渡りのシーズンのカウント調査はサシバもアカハラダカも約2週間。その間はどっちが本職かわからないほど集中する。「カウントは継続しなければデータとして示せないのでやる以外にない。ただ、義務的にやっているのではなく、根底に好きだということがある」と話し、そのシーズンになると、そわそわして空ばかり眺めているという。


 

<具体的な活動と実績>
1月…新春探鳥会
5月…「愛鳥週間」写真展と探鳥会
6-7月…アジサシ類の繁殖・生態調査
9月…アカハラダカ飛来数調査と観察会
10月…サシバ飛来数調査と観察会


<これまでの活動実績>
●サシバ保護月間活動と飛来数調査=1973-2010年の飛来数データ所持
●1980年、同会員が日本で初めてアカハラダカの渡りを確認。86年から組織的な飛去数調査を現在まで実施。
●マミジロアジサシの集団繁殖北限の確認とバンディング。県内初のツバメチドリの繁殖確認、国内初の鳥類確認など新しい知見を数多く発表。
●1987年、ミャコショウビン発見「百年展」を開催。
●1999年、同会25周年記念誌発行と、宮古諸島の鳥類目録(274種)作成、2010年、同目録(330種)を改訂。


<活動評価>
●1979年、野生鳥獣保護実績研究発表大会で日本鳥類保護連盟会長賞。
●1981年、環境庁50周年記念に感謝状。
●1993年、第44回全国植樹祭で県知事より野生鳥獣の保護功績で表彰。
●1999年、県文化協会より団体賞。