過剰捕獲・環境悪化で減少/ヤシガニ
次世代へ保護・保全を
「ヤシガニ資源とその文化を次世代に~今、私たちは何をすべきか?~」をテーマに、ヤシガニ講演会(主催・水産総合研究センター西海区水産研究所、共催・海の自然史研究所)が9日、県宮古合同庁舎で開かれた。講師2人が、ヤシガニ(オカヤドカリ科、宮古の方言名マクガン)の生態や保護・保全などについて講演した。参加者らは、熱心に聞き入っていた。
講師の藤田喜久さん(琉球大学教育センターの非常勤講師)が「「ヤシガニと沖縄の人々の暮らし」、佐藤琢さん(同研究所石垣支所研究員)が「ヤシガニの生態からその資源管理策を考える」と題して講演した。
藤田さんは「ヤシガニは世界最大の陸生甲殻類。大きな個体では脚を広げた大きさが1㍍、体重4㌔にも達する。琉球列島以南のインド~西太平洋の熱帯・亜熱帯地方に広く分布している。宮古・八重山で多く見られるが、近年観光資源にもなり、過剰捕獲や開発による生息環境の悪化によって個体数は減りつつあると考えられる」と憂慮した。
その上でヤシガニの保護・保全の必要性について▽成長が極めて遅いため養殖は事実上困難▽価値(価格)がサイズに関するので大型個体が減りやすい▽自然海岸の改変により、繁殖場所や小型個体の生態環境が消失-などを上げた。
藤田さんは「ヤシガニが1㌔サイズになるには10年以上かかる。甲長15~20㌢の大型個体数は50年以上」と語った。
藤田さんの聞き取り調査からマクガンの語源は「マク」は腹部が巻いている(腹部を腹側に曲げている」と解釈があったが真偽は不明。「ガン」はカニの意味。