2011年5月9日(月) 22:45

宮沢賢治とアンパンマン(行雲流水)

 「僕らはみんな生きている、生きているから歌うんだ。僕らはみんな生きている、生きているから悲しいんだ─」と歌う『手のひらを太陽に』を作詞したやなせたかし氏は「アンパンマン」の生みの親でもある



▼氏は語る。「正義とは、困っている人を助けること、ひもじい思いをしている人にパンの一切れを差し出すことである」。こうした考えから「自分を食べさせて人を救う」ヒーローが誕生した。そこには、ひもじい思いをした戦時中のことや、相いれない不毛な「正義」たちへの批判が込められている


▼子どもたちの大好きなアンパンマンが被災地に飛んだ。被災地で繰り返し流れているアンパンマン・マーチは歌う。「そうだうれしいんだ/生きる喜び/たとえ胸の傷が痛んでも/ああアンパンマン/優しい君は/いけ、みんなの夢、守るため」


▼宮沢賢治の描くユートピアであり、心象風景の理想郷である「イーハトーブ」は単なる空想の世界ではなく、現実の岩手県をイメージしている


▼その理想実現のため彼は農業技術者として農業技術向上のため、また「農民芸術の興隆」のために尽力した。童話『銀河鉄道の夜』の中で少年ジョバンニは叫ぶ。「僕もうあんな大きな闇の中だってこわくない。きっとみんなの本当の幸を探しに行く。どこまでも僕たち一緒に進んで行こう」


▼「雨ニモマケズ、風ニモマケズ、雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ─」。郷里を愛した賢治の詩「雨ニモ負ケズ」が朗読され、被災地の人々を励ます力になっている。