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2011年6月4日(土)23:13

岩上 彩子さん(31歳)/アーティスト

「見る人の感性で感じ取って」


岩上 彩子さん

岩上 彩子さん

 宮古に住んで3年になる。好きな創作料理と絵画を楽しみ、気持ちの向くままに暮らせる今が充実しているという。「もともとのんびり屋なので、宮古の時間と空気が合っているみたい」と笑う。今の思いを作品にしてみた。4日から市内のカフェでスタートした「AYA展」は、独特な作風で、命の息吹を感じさせる。これまでに東京でグループ展とかに出品してきたが、宮古での個展は初めて。


 学生のころ屋台の研究をしていて、その流れで沖縄本島の実情を見に来た。後に、離島にも行ってみたいと思い、船に乗った。石垣に行く予定が、船中で知人に会い宮古の話を聞かされ、途中下船したのが住むきっかけとなった。「知人は延々と宮古の良さを語り、さすがに心が動いた。降りてみて、ほんとに不思議な出会いがたくさんあり、周りの人たちに助けられて今がある。たまに帰る東京や横浜が逆に異質に思える」

 料理も芸術の延長。宮古の食材をふんだんに使い、ハーブやスパイスなどを駆使したアジアンな料理が、2年前、カフェをオープンする予定のオーナーの目に留まり、厨房を任される。今では好きな料理が仕事となり、休日は思い切り絵を描き、結構一人暮らしを楽しんでいると話す。

 絵は、思考が無になった時に描けるという。絵心は自由な家族環境の中で培われ、10歳ころ芽生えた。4歳のころ、父親の仕事の関係でインドに住み、小学低学年はアメリカ・コロラドに住んだ。「両親が旅好きで、意外と伸び伸びと育ったせいもあり、将来どうしようとか、あまり物事を深刻に考えない。今が充実していればいいみたいな(笑)。だから、絵もあまり考えたら描けない」と、その自由な発想が作品に現れている。

 主にジェルインクのボールペンや水性の鉛筆を使い、紙は馬糞紙やマーメイド紙を使う。繊細な文様が特徴の心象画。「作品にはあえてタイトルを入れない。あると、どうしても私の思いを押しつけることになる。見る人の自由な感性で感じ取ってほしい」と話し、見る人の主体性を思いやる。展示会は和風亭隣のブックカフェ・ブレスで12日まで。

 岩上 彩子(いわがみ・あやこ)1979年6月8日、神奈川県に生まれる。早稲田大学理工学部建築学科卒。アジア・中米などを旅した後、多摩美術大学環境デザイン科に入り、屋台の研究などで修士過程卒。2000年東京でろうけつ染めで個展。08年より宮古島在住、ブックカフェ・ブレスで勤務。

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