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2011年6月29日(水) 22:43

3.11以後(行雲流水)

 震災復興構想会議の提言がまとまった。菅内閣はその具体化案を策定し、国会はその実施に必要な法律や予算を審議しなければならないが、与野党とも〝菅おろし〟に夢中で、復興策は五里霧中だ



▼1929(昭和4)年の大恐慌の際にも似たような現象があった。東北地方の農村の娘は身売りされ、沖縄はソテツ地獄に見舞われるなどの経済不況下で、政友会・憲政会の二大政党は政争に明け暮れ、国民の信を失った。その結果、軍部の台頭を招き、15年戦争への道を歩むことに


▼「賢者は歴史に学ぶ」との先哲の言葉もある。「理想を追い過ぎると、実態が見えなくなる」(ドラッカー)ともいう。政治が調整能力を失っている谷間で呻吟しているのは被災民だ


▼被災民は、延べ40万人のボランティア活動に支えられて4カ月近くを持ちこたえてきた。政治と行政と生活実感との間の溝を埋めるボランティア活動が再認識されつつある


▼政府も重い腰を上げた。NPO法人に対する寄付金を減税対象にするという。減税額や指定要件など詳細は秋の税法改正を待たなければならないが、今のところ、寄付金の半額程度が寄付した人に還付される構想のようだ。全国に4万あるといわれるNPO法人の活動資金集めは容易になるであろう


▼政治や行政の空白域を埋める民間活動が活発になれば、社会の連帯感も広がる。「日本中枢の崩壊」が明らかな今、幕末の開国、昭和の敗戦処理に次ぐ「第三の建国の道」を切り拓く端緒になり得るかもしれない。「選良」は死語になりつつある。