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人生雑感
2011年8月31日(水)15:28

被虐待児をどのように救い出したらよいのか。その問題点

日本親業協会親業インストラクター 福里 盛雄


1 児童の虐待の兆候が存在した場合は、みんなで監視しなければならない

 児童が虐待を受けていることに、容易に関知できるのは、最初は保育園の先生などの教育関係者であり、学校の保健室の先生や医師などである。毎日の生活の中での虐待の状況を現実に接しているのは、隣近所の人々である。これらの人々は、児童の虐待を関知したときは、その情報を適当な機関に通報すべきである。1人の子供の命が危険にさらされているのです。


 ところがそのような通報をすると、隣近所の関係が悪化する可能性に直面する。虐待者は血のつながりの身内の者であり、子のしつけに他人が関与することを拒否し反抗の態度にでます。ここの子のしつけという名の下に子の虐待が行われ、他人の介入を拒否する大きな壁が立ちはだかっています。また、通報を受けても、敏速に救いの手を差し伸べることなく手遅れとなって、尊い命が失われていく場合もあります。虐待の中にいる児童は一刻も早く救い出されることを叫び続けています。

2 児童虐待防止に対する行政機関とその問題点

 児童虐待防止のために、行政もいろいろ制度を設けています。国も児童福祉法を制定し、虐待している保護者から被虐待児を引き離し、一時保護施設に収容し、被虐待児を保護することになっています。(児童福祉法33条)。その機関は1カ月であり、児童相談所の所長の権限でそれは可能となる。しかし、1カ月を超えて一時保護施設に置くことは親権者の居所指定権(民法821条)に反することになるので、それ以上はできないことになる。一時保護施設にいる間に、虐待者の態度を改善させることが果たしてできるのか、はなはだ疑問であります。日本ではその間のケア制度はいまだ設けられていない。被虐待児童は元の虐待の状況の下に戻されることになり、以前より虐待がひどくなる可能性さえあるのです。

 被虐待児を収容する施設して、行政は養護施設を設けています。養護施設に被虐待児を収容するためには、親権者の同意が必要です。親権を有する者が反対する場合は、家庭裁判所の承諾を得て収容することができます(児童福祉法28条)。親権者が反対する場合は、その者の資格を失わせる宣告を家庭裁判所ですることができる(民法834条、同845条)。このように児童の虐待防止策を行政機関も制定しているが、それらの制度は、児童の虐待が現実に起きた場合であり、そのためにも親の親権に基づく、子を教育するために親に与えられてしつけと居所指定権という親の権限が児童虐待防止の機能を妨げていることは、大変皮肉なことである。

 親に与えられている子供に対するさまざまの権利は子を健やかに成長させるためのものである。親はその権限の意味を十分に理解して、その権限をその目的を達成するために行使すべきです。親の子に対する権限は、権利であると同時に法律上業務でもあります。親は子を社会の宝として、育てる誇りが与えられています。世の中でこれ以上の崇高な仕事は存在しません。そのような社会の宝として可能性を秘めた幼い子供たちが、親の虐待によってその可能性が否定され抹殺されていくことは、私たち人間の大きな損失であることを深く認識しなければならない。どんなに行政機関が児童虐待防止策を講じても、私たち一人一人が、子供の虐待行為は非人間的行為であり、絶対にしてはならないし、虐待に気がついたら、通報する勇気と実行力を身につけ、将来性の豊かな子供を心から愛し、この子であることを誇りに感じ、すべての子供が元気で伸び伸びと育つ環境をつくらなければならない。それは大人たちの崇高な当然の責務であると確信いたします。

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