2011年10月31日(月) 23:50

「画家堀文子」(行雲流水)

 テレビで、各地の雄大な自然や、総じておおらかな人々の暮らしぶりに触れると心が洗われる想いがする。また、優れた人々の多彩な生きざまには感銘を受ける



▼高齢で活躍する日野原医師は特に高齢者に元気と勇気、希望を与え続けているが、NHKのヒューマンドキュメンタリー「画家・堀文子93歳の決意」で紹介された孤高に生きる堀氏も負けてはいない


▼堀氏は日本画家であるが、従来の日本画の常識や権威にとらわれることなく、自らの価値観と美意識を追求してきた。そのモチーフは自在に変化するが、一貫して、透明感あふれる色彩と丹念な筆致で自然の中の命の姿を描き続けてきた


▼氏は70歳で、バブル期の金の亡者と化した日本人に嫌気がさしてイタリア・トスカーナに移住する。帰国後は古代文明の跡やヒマラヤ山脈等を巡り、神秘的で生命感にあふれた世界をきり拓いていく


▼81歳のとき、標高4500㍍の高地に咲く幻の花ブルーポピーを求めてヒマラヤへ行き、作品に結実させている。89歳のときは「雪嶺」を描き、険しい山は厳しいゆえに美しいと語る。92歳の去年、「鶴が渡るヒマラヤを越えて」を出展しており、「風景は思想である」と語っている。2001年に大病を患い、回復後は顕微鏡下で見る微生物の世界に新たな境地を展開している


▼氏のモットーは「群れない、慣れない、頼らない」である。「美」とは生き生きしていることであると言い、番組の結びには「息の絶えるまで、感動していたい」という決意を残した。