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行雲流水
2011年11月16日(水)22:22

「多数決」(行雲流水)

 野田内閣はTPP参加へ一歩踏み出した。プラス面がマイナス面を上回ると判断し、「最大多数の最大幸福」の追求を選択したのだろう。しかし、後日の条約批准国会は、民主党議員が大多数を占める衆議院といえども予断はできない状況だ


▼そもそも、「多数」は「常に正しい」とは限らない。ヒトラーは民主主義のルールに従って多数決で選ばれたし、民主主義の本家を自認する米国の憲法は、議会が多数決で決めた法案への署名を拒否する権限を大統領に賦与している

▼「多数決」にもいろいろある。株主総会では、株主数ではなく株式数で決める。商工会議所と商工会の議決権も違う。商工会議所は、1口いくらの会費を何口負担しているかに比例して発言権が増すが、商工会は単純に会員1人1票だ

▼国会では、選挙民の数や得票数とは無関係に議員各人が1票の議決権を持つが、最高裁は「国会議員の1票の格差は違憲状態にある」と指摘している。民主主義と多数決は同義のように思われがちだが、合意形成の方便としての「多数決」には責任が伴うことを忘れてはなるまい

▼TPPは、煎じ詰めれば「個」と「全体」の利害調整の問題ではないだろうか。離島人口が占める比率は小さいが、定住条件の一つとしてサトウキビが占める比重は大きい。少数派の救済を主張することには正統性がある

▼政府は、農家の戸別所得補償対象品目にサトウキビを加える、あるいは台風に強い高収入作目への転換方策を用意するなど、離島農業の将来の絵姿を具体的に示す責任がある。

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