2011年11月30日(水) 22:40

人間関係を破壊するもの―それは人間の自己中心性と傲慢性である

日本親業協会親業インストラクター 福里 盛雄


1 人は人間関係の善し悪しで幸せにもなり、不幸にもなる


 私たち人間は社会的動物だと言われ、動物の中でも霊長動物だと言われている。人間という字は人と人の間と書く。すなわち人間という字は、人と人の関係を表しています。人は一人では生きていけない弱い存在である。互いに支え合い、持ちつ持たれつ寄り添いながら、力と智恵を出し合って生きなければ滅亡してしまう要素が大きいのです。人間という動物が、今日のような長い発展の歴史を地球上で残してきたのは、人間が人間関係を大切にし、そのように行動してきたことに起因するものと考えます。その意味からも、人間の基本的本質である人間関係を破壊することは、人間が人間をやめることを意味します。そのことは、人が共同生活をやめ、群れからはぐれた一羽の渡り鳥のように孤独な生活をせざるを得なくなることになります。



 私たち人間は、他人との関係の中で、平安で幸せな生活を営むことができるのです。ところが、今日の社会生活は多くの人々のストレスの発生源となり、孤独の場となっているような感がします。ある人は、孤独は山や野になく、里や町にある。しかも多くの人々の間にあるという意味のことを言っています。このように今日の社会は科学文明は発展したが、人の心は栄養失調に陥っています。人は人にとって支え合う関係とはならなくなり、お互いに信頼関係を失ってしまっている。実際に人の最も恐れているものは、幽霊でもなく他の動物でもなく、自分と同じ人間そのものです。このように人間関係を崩壊させたのは、一体何でしょうか。その原因となる要素は、人の心の中に存在しているのです。


2 人間関係を崩壊させるもの


 ①自己中心性
 人間関係を崩壊させるものとして、まず第一に挙げられることは、人間の心に存在する自己中心性です。自己中心性とは、全てのことにおいて自分の判断を基準に物事を処理しようとする人の性質である。自己中心的な人は他人の考えを無視し、他人の自己を犠牲にしてでも自分の利益を優先する。他人は単なる自己の利益の手段にしかすぎないと考えるのです。単なる手段として利用された者は、不平と不満と怒りを抱くようになる。また、自己中心的な人は、他人の話や注意に耳を傾けようとはしないのです。そうなると、お互いの協調性がなくなり、連帯の心がなくなり、自分勝手な人で社会は乱れてしまいます。


 ②傲慢性
 次に、人間関係を崩壊させるものとして挙げることのできるのは、人間の傲慢性です。傲慢性は人間の自己中心性と並んで人間関係を損なう根本的原因だと考えます。傲慢性とは、広辞林によるとおごりたかぶって礼に欠けること、たかぶって人を侮ること、と説明しています。別の言葉で表現すれば、傲慢性とは、自分を全知万能者に祭り上げ、他人を見下す人間の姿だといえるのではないでしょうか。このような性質を持っている人は、人とは協調できません。人間関係を豊かにするのは、傲慢性ではなくて謙遜さなのです。傲慢性はその人を失敗に導き入れると同時に、社会をも不幸にします。


 以上述べた自己中心性と傲慢性は、多くの人が潜在的には持っているものです。人間は本来そういう欠点を持った存在なのです。私たち人間は、学習や社会生活の訓練によって、人間の本来持っている自己中心性と傲慢性を抑制する能力を身につける。人間関係を崩壊することなく、他人の能力と各人の自尊心を尊重して、楽しい幸せな社会生活を築く努力は、私たちに課せられた課題です。