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美ぎ島net
2011年12月24日(土)22:45

シリーズ 島のくらしと環境

硬度低減化がもたらすペレット
市民で再利用のアイデアを


毎日、約3~4トンが排出されるペレット

毎日、約3~4トンが排出されるペレット

 1999年4月から供用が開始された硬度低減水。当時硬度が280㎎/1(国の飲み水の基準300㎎)といわれた宮古の水は、1リットルの水道水に280㎎のカルシウムが含まれているという数値だった。97年からスタートした硬度低減化事業は国内最大規模といわれ、カルシウムやミネラルを適量含んだ1リットルあたり80㎎の硬度にし、飲料に適したおいしい水を供給しようというものだった。


 現在、袖山浄水場の北側にある硬度処理棟で精製された水が浄水場に送られ供給するシステム。袖山浄水場の配水量は1日平均2万立方㍍、そこから排出されるペレット(抜き取られたカルシウム)の生成量は200㌘×2万立方㍍で、約4トンとなる。この量が1カ月たまれば120トン、1年だと…。あれから12年、その再利用はいまだ確定せず、真っ白い粒は積み上げられたままとなっている。

 以前の水道水は、硬い水として、そのまま飲むにはまずく、さらに湯沸かしのやかんにはびっしりと石灰がはり着き、風呂の湯沸かし器は付着する石灰で早く壊れてしまうという生活への影響も大きかった。そのため、高額な軟水器や浄水器が普及し、スーパーでのミネラルウォーター販売率も県内一といわれるほどだった。カルシウムが含まれた水は長寿の水だという説もあるが、軟水のまろやかな味を覚えてしまうと硬水ののど越しの悪さにはもう戻れない。

 ペレットはその量が多いだけに、事業に着手したころから懸念材料だった。捨てると島を脅かす廃棄物になるので、何とか付加価値をつけて利用する手だてはないか考えた。最初、建築資材とか、カルシウムを利用したサプリメントや食材にといった意見も上がったようだが、結局は未だにきちんとした答えは出ていない。

 先日の市議会で一般質問した議員の答弁に譜久村基嗣上下水道部長は「保管場所の確保に苦慮している。再利用については、一部は防臭剤として契約販売している。商品化については、本土企業の問い合わせはあるが実現に至っていない」と話している。何とか、市民のアイデアを結集してペレットの再利用が図れないものだろうか。

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