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旧暦:3月11日 先勝 癸 穀雨
行雲流水
2012年1月4日(水)22:28

わが門に新年来たり(行雲流水)

 わが門に新年来たり/あら玉の祝言いひぬ。おめでたう努め給へや/本年は君の年なり(中略)かくいひていとにこやかに/新年はわが手を握り/新しき帽を脱ぎつつ/わが部屋に来たり坐りぬ(佐藤春夫「新年来たる」)


▼縁あって大みそかから新年を世界に冠たる大都市東京で迎え知人に案内されて元旦浅草に出かけた。わが国最古の商店街の一つと言われている「仲見世」のにぎやかさを再び体感したくて

▼さらには延々とつづく石畳の仲見世通りに並ぶ店舗の店頭を飾っているにちがいない玩具や菓子など江戸情緒豊かな工芸品や食品づくりを見学したくて。なのに最寄りの地下鉄駅を出るやいなや知人共々往来をうめつくす雑踏にのみこまれた

▼目には前方にそびえる朱塗りの「雷門」(正式には風雷神門)につるされた巨大な赤提灯が飛びこんできた。提灯の下をくぐればその先は仲見世のはずである。が、そんな思いはものの見事にくずれ去った

▼立錐の余地もない群衆の中雷門前には「浅草寺」参詣の人々が20~30㍍横隊で長蛇の列をなしていてまったく前進する気配もなく渋滞のままだったからである。結局あきらめて引っ返すことになった

▼折しもメディアは伝えていた。各所で神仏参詣の人出が例年にない多さとなったのは東日本大震災被災地に対する国民の強い復興祈願の気持ちの表れかと。とは言え雪交じりの寒風吹きつける仮設住宅で老夫婦が身を寄せ合い寡黙に耐えている姿(映像)を見るのはつらい。

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