2012年2月15日(水) 22:38

台湾台北の郊外を行く(行雲流水)

 台湾台北の郊外を行く観光バスでのこと。快適に走っていたバスが急に亀の歩みとなった。車列の渋滞にでくわしたのである。そんな中車窓に身を寄せていた乗客の一人が唐突に「台湾にはユンボー(掘削機)はないのか」と言った



▼上半身ランニングシャツ姿の7、8人が縦1列に並びツルハシで路面の側溝を掘っているのを眺めてのことである。言葉には(今どきツルハシ工事とは!)と冷ややかに見下す響きがこもっていた


▼耳ざとく聞きつけた現地観光ガイドは「台湾にもユンボーあります。でも一人でも多くの労働者に仕事与えるため機械使わないネ。続けて掘れば人の力でも側溝完成しますネ」と言った


▼中国広州の発電所の隅で労働者たちがレンガを石にこすりつけてのんびりと磨いている。発電所を視察していた日本人は「研磨機にかければ2、3分で済むものを…」とあきれ返った。結果をせわしく求める〝短距離型日本人〟(守屋洋「中国人の発想」)にとって〝長距離型中国人〟(同)の心情は怠惰と映ったのだろうか


▼毛沢東は寓話「愚公、山を移す」を引用し国民に「現代の愚公なれ」と呼びかけたと言う。愚公は家の前に立ちふさがる山が邪魔で崩しにかかる。それを見た利口者は「何とばかげたことを!」と笑う


▼しかし愚公は平然と言った。「私が死んでも子がいる。子は孫を生みその孫も子を産む。山崩しは子々孫々受けつがれて絶えることはない。したがって山はいつかは無くなり平らになる」と。