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美ぎ島net
2012年2月18日(土)22:50

シリーズ 島のくらしと環境<11>

宮古の自然を考えるワークショップ


土壌を再生させる農業を始めた川平さん(下地)

土壌を再生させる農業を始めた川平さん(下地)

 先日、県環境生活部自然保護課によって、宮古の自然を考えるワークショップ(下地公民館)が行われた。約20人の市民が参加して今後、宮古の自然はどうなってほしいか、そのためには何を行えば良いかなどを考えた。この企画は沖縄21世紀ビジョンの中で、生物多様性基本法を自然環境共生型社会の実現に向けて基本計画につなげていこうというもの。


 生物多様性とは、動物、植物を問わず、生き物は変化に富んだ環境の中でつながり合って生きているということ。そして、私たちの生活、産業、文化は自然の恵みの上に成り立っている。生態系でいえば、干潟やサンゴ礁、森林、湿原などの自然。また、種では、希少種や私たちの身の回りで見かける動物、植物などの生き物。遺伝子では、同じ種の中でも、形や模様など個体ごとに違いがあり、環境の変化で病気が蔓延して絶滅する可能性もあるという三つのレベルで生物多様性が考えられている。

 ワークショップでは、四つのグループに分かれ、宮古の自然と暮らしを考えた。Aグループの発表では「今住んでいる地域が将来どうなってほしいか」(1)、「残したいもの、守りたいものは何か」(2)、「そのためには、どうすればよいか」(3)を考えた。(1)では、「サシバの泊まれる森を」「畑の用水路に生き物があふれている島に」「ミミズがすめる土壌に」「地下水のきれいな島」などが挙げられ、エコアイランド、豊かな水産生物、地域住民が住みやすい環境で、観光客がもう一度来たいと思う島にしたいとした。

 (2)では、サンゴ礁、自然海岸、豊かなイノー、森、伝統文化、ウタキなど守るということ。(3)では、教育によって、自然、文化の周知を。水辺の保全、ごみを捨てない、カーズク(沼)の再生などにつなげた。Aグループの川平俊男さん(下地出身)は、報告で「宮古島を農業ルネッサンスに」と熱く報告、「化学肥料や農薬で弱った土壌を回復させ、伝統的な自然栽培をもう一度見直そう」と語った。

 川平さんは、20年前から農業を考える会を結成して仲間たちと健康な農業に取り組んできたが、無農薬・有機栽培では限界があることに気が付いた。根本的には土壌を回復、再生させ昔の農業に倣うことが目指す農業だということにたどりつき、有機農法協会と放牧豚協会を発足させ、植物と動物の共生する農業に踏み出している。

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