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2012年2月27日(月) 22:32

「遊びをせんとや」(行雲流水)

 遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけむ 遊ぶ子どもの声聞けば わが身さえこそゆるがれる。平安末期、後白河法皇編さんの「梁塵秘抄」の中の今様(歌謡)の一つである



▼実は、この今様に新しい旋律がつけられてNHK大河ドラマ「平清盛」の挿入歌として歌われている。番組では、極悪非情な清盛像ではなく、既成の権威や慣習にとらわれることなく血気盛んに新しい時代を切り開いていく清盛像が描かれている。「子どもが遊ぶように、夢中になって生きる」ということで、この歌謡が挿入されたようである


▼それにしても、この「遊びをせんとやー」は、今なお多くの人の心をとらえている。田中澄江の「記紀」から千年に及ぶ歌謡史ともいえる本の書名は『遊びをせんとや』である。その中で書いている。「広く大ぜいのひとびとのこころに芽生えた『いのちの尊さ』がこの歌をつくらせ、はやらせ、現代まで生きつづけさせているのだ、と思う」


▼高田宏にも同じタイトルの著書があり、その中に書いている。「この歌謡を口に出してみて、ぶるっと身ぶるいした。一心に遊ぶ子ども。一心に眠る猫。それらに共振するものをなくしたら、私は私でなくなってしまう。生きる意味がなくなるだろう」


▼この歌謡が人に愛されるのは、純真な子どもの姿を称えるということにとどまらず、いのちの真実や、懐かしさを感じさせるからだろう


▼ドラマでは、「遊びをせんとや生まれけむ」の言葉が妙なる響きに乗って、どこか遠くからやってくる。