2012年3月12日(月) 22:30

「絵本」(行雲流水)

 「大人こそ絵本や童話を読もう」とノンフィクション作家の柳田邦男氏が呼びかけている。生きる上で本当に大切なものが何なのかを気づかせるからだという



▼世に、優れた作品は多いが、世界で多く読まれているシェル・シルヴァスタインの作品を2、3読んでみた


▼その一つ、『おおきな木』。1本のリンゴの木が大好きな少年に、実も枝も幹も、すべてのものを与えてしまう。「木はそれでうれしかった」…だけどそれは本当かな。この「本当かな」という言葉がさまざまな解釈を誘う


▼『ぼくを探しに』。一部が欠けた球体が、何かが足りないし、速く転がることもできないので、足りないかけらを探しに旅に出る。山越え海越え、やっと見つけたかけらがぴったりはまって球形になる。ところが、速く転がるようになると、ミミズと話すことも、花の香りをかぐことも蝶に止まってもらうこともできなくなる。彼はかけらをそっとおろして、一人ゆっくり転がっていく


▼(続ぼくを探しに)『ビッグ・オーとの出会い』。こちらは、かけらの方の話。かけらは、誰かを待っている。そのうちに、あるものにぴったりはまる。ところが、今度はかけらが急に大きくなって、一人放り出される。そこにビッグ・オーが現れ、「角は取れて丸くなるものさ」と言う。かけらは回転を繰り返して次第に丸くなる。丸くなったかけらは一人で新しい世界へ転がっていく


▼これらの作品は単純な絵と短い文章で描かれているが、内容は深く、多様に解釈できて、確かに大人にも楽しめる。