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行雲流水
2012年4月4日(水)23:00

「ウエザリングセンター」(行雲流水)

 宮古島には、わが国工業製品の品質向上に貢献している試験場がある。上野字宮国にある「日本ウエザリングテストセンター・宮古島試験場」だ。自動車の塗料やシートなど、新素材は世に出る前にここで耐候性試験を受けている


▼耐候性試験は、サンプルを自然の風雨にさらして劣化の進み具合を見るもの。日光や紫外線、台風や塩害など、宮古島の自然環境は過酷だ。宮古島で耐えた素材は世界でも通用する、というわけだ

▼「日本ウエザリング」は多くの企業から委託を受けてテストを実施する一般財団法人。千葉、北海道、沖縄に試験場があり、寒冷地テストは北海道で、熱帯地テストは宮古島で実施している

▼耐候性試験は地味ではあるが、企業生命をも左右する重要なもの。試験中の素材は〝企業秘密〟の塊だから、非公開が原則だ。この原則を緩和して、児童生徒が科学に興味を持つ環境づくりができないものか

▼教育委員会・教育事務所がセンター側と話し合って説明用パネルを工夫すれば、一種の〝科学教室〟になり得るのでは。小中学生向けの説明に、企業秘密に属するデータを使う必要はない。一般的な話と現物見学で身近なテーマであることを実感できればいい。関係者の創意工夫で児童生徒に〝科学する心〟が芽生えるなら幸いだ

▼21世紀ビジョンを実現するためのプロジェクトも大事だが、身の回りの小さな挑戦の積み重ねが高みへ登る着想を生むのでは。挑戦すべきテーマは、身の回りにいくらでもある。足りないのは、大人の探究心かもしれない。

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