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2012年4月7日(土)22:18

上里 勝美さん(36歳)/宮古島Fプロジェクト代表

方言の豊かさ 島の独自性に


上里 勝美さん

上里 勝美さん

 今、方々のイベント座開きで引っ張りだこの「ぱんだる50cc」。宮平恭子さんとコンビを組む。二人は鼻たれ小僧の半人前という意味だそうだ。短パンにTシャツ、頭には児童用の赤白帽。性別がはっきりしない二人だが、正真正銘の女性。ときに上里さんは中学男子に間違われることもしばしば。「素のままでみんなを喜ばせたい」と話し、底抜けに明るい宮古の日常を本土に発信する「Fプロジェクト」を立ち上げた。


 30代の上里さんだが家庭環境から方言が得意。一昨年、レディースバドミントン協会30周年記念祝賀会で余興をやるようにいわれ、思いついたのが方言バージョンのラジオ体操。思いのほか受けたのを機に昨年CD化し、今では、防犯協会の集い、公民館の落成式、夏祭り、サニツ浜カーニバル、宮古牛まつり、結婚式などから声が掛かるようになった。

 「笑ってさえいれば人は元気になれる」と話す。1年前に他界した最愛の母を見送り落ち込んでしまった上里さん。つらい状況の中から救いあげてくれたのは、バドミントンの仲間たちだった。そして「うわがぷからっさぁ ばがぷからっさ」(あなたの喜びは私の喜び)という合い言葉を思い出す。そうした体験の中から周りの人たちに笑いを提供しようと強く感じたのだった。

 プロジェクトでは宮古大好きのIターン山本良子さん(岩手県出身)がマネジャーを務める。宮古の人と自然が大好きで住み着いてから10年になる。宮古のありのままをDVDにしネットショップの中に組み入れた。映像はサトウキビ畑で談笑する男性、隣のおばあ、ピンギ(逃げる)ヤギを必死で捕える上里さん自身など、ほのぼのとした日常が切り取られ笑える作品ばかり。息のあった二人ならではの傑作だ。

 山本さんは上里さんの人柄を「自分のつらさは決して人前には出さない。それでいて明るくその場を盛り上げ、みんなをつなげようとする健気さがある。結局はそれが笑いとなってみんなを和ませてくれる」と話す。上里さんは「宮古の方言はとても味わい深く、痛みも笑いもストレートに伝えてくれる。みんなを元気にするために方言の豊かさを宮古島の独自性にしていきたい」と意欲。

 
 上里 勝美(うえざと・かつみ) 1975年10月27日生まれ。城辺小・中学校、宮古農林高校を卒業して沖縄本島へ。9年前帰郷、家族と一緒に「仲原鍾乳洞」を観光地に。2011年、5月「Fプロジェクト」を開設。

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