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私見公論
2012年5月4日(金)22:32

高齢者福祉について(1)/下地 徹

私見公論 28


 老人福祉法・第二条(基本理念)には次のように明記されている。
 老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。


 人口減少と少子化の傾向は相変わらず進んでいる。しかし、介護を必要とする高齢者は表にもあるように確実に増加している。国、県、宮古島市においても老人福祉法に明記されていることを具現すべく、多くの施策を立て、事業を展開している。

高齢者人口の急激な進行

 日本は世界に類のない速いスピードで高齢者人口が増加している。1950年~2000年の50年間総人口の12・1%、ちなみにアメリカは4・7%となっている。この増加率からしても行政としましても、いろいろな計画を立て高齢者福祉の推進を図らなければならなかった。平成元年にはゴールドプラン、施設福祉を中心とした計画、平成6年には新ゴールドプラン在宅福祉を重視した計画が立てられた。

 日本人は世界で最も長生きできる国民となった。だれもが健康な長寿を続けてきた。

 長寿で高齢化社会の到来は、日本にとって、明るい未来へのステップとなるはずだったのに、実は種々な問題が一挙にクローズアップされ、わが国があれほど願っていた長寿社会が無条件で喜べる素晴らしいものではないと感じている人々が多くなってきているのではないかと思われる。

 高齢化の進行が著しく、次代を担う子供の出生が減少し若い働き手が減少している。産業構造の変革とともに、地域の人々の交流の希薄化など、このまま年寄りばかりが増加しては若者に大きな負担がかかる。長寿は地域社会や家庭で諸手を挙げて喜んでばかりはいられない状況になっている。

 だれもが、住み慣れた場所で、共に暮らした多くの人たちと、自分の存在を示す環境の中で最期まで過ごしたいと願うのはごく自然であり、まさに理想の人生の幕引きだと思う。

 しかし、最近では不可能に近いものとなってしまうのではないかと思われてしかたがない。というのも、人を思う温かみや思いやり、一人一人のつながりが大切にされてきたことと思うが、地域住民の福祉の心は冷えたものとなっているのではないかと感ずることが多くなってきているからである。

 ※イギリスの経済学者、ビル・エモットは日本の将来像を次のように語っている。
 日はまた沈む、ジャパン・パワーの限界
①膨大な余剰資本を背景に生産者国から、消費者の国へ
②ワーカホリック(働きすぎ)の国からレジャー大国へ
③貯蓄国家から投機家の国へ
④若者の国から白髪まじりの年金生活者国へ

次回へつづく。

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