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行雲流水
2012年5月17日(木)9:00

「平均値」(行雲流水)

 「数字でもって語らせよ」-行政や経営の土俵でよく聞く言葉だ。だが、数字の読み方にも注意が必要だ。実態とかけ離れた「平均値」が一人歩きしている場合もある



▼ある離島の女性の平均年齢は25歳だと聞いて、妙齢の女性が多いだろうと思うのは勘違いだ。10代後半の女性は本島の高校へ通うために島を出る。働き盛りの女性は出稼ぎに。島には若い女性は一人もいなかったという話もある


▼沖縄県の1世帯あたり貯蓄額は626万円だという(平成21年。全国1638万円)。実際には、貯蓄ゼロの世帯から1億円以上の世帯まで分布しているが、正規分布(平均値と中央値が一致)しているとは限らない


▼景気判断などでは、「ほぼ横ばい」などと表現する。「横ばい」とは数字の「±2%以内」を意味するという。が、一般国民の受け取り方はバラバラだ。数字と言葉と実感が一致しない例は多々ある


▼在日米軍施設(面積)の74%は沖縄県にあるという。これを都道府県数ベースで表現すると「47分の35」という割合になる。〝本土並み〟なら「47分の1」でいいハズだ。数字をひとひねりすれば、基地の重圧感や整理縮小の必要性が実感できる


▼本土復帰後40年。数字の上では、多くの分野で「他府県並み」に近づきつつある。道路や学校、土地改良や農業用水、住宅やライフラインなどは目に見えて良くなった。これらの基盤の上で営まれている教育、産業、家計などの実情はどうか。人材育成や産業振興について、復帰40周年を契機に新たな挑戦を試みたい。

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