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行雲流水
2012年7月2日(月)21:57

「明増先生と寛長先生」(行雲流水)

 ものを整理していると、新聞の古い切り抜きが出てきた。与那覇寛長先生の書いた展評「下地明増展の周辺」である。開展を祝う宴の様子が紹介されている


▼明増先生はあいさつの中で「子どもは好きだから走る。私も好きだから絵を描く」と語っている。そのことについて寛長先生は書いている。「好きだから描くは、後世に残る絵を描こうとか、生きがいを求めようとか、そういう余念の入る余地を与えない、無我夢中でひたすら描く、それのみに生きていることではなかろうか」

▼琉大の仲井間先生は「明増先生の絵には、先生の謙虚な人柄が投影されているし、ロマンがある」と講評している

▼明増先生は高齢になるまでいろいろな会合によく参加されて後輩を激励された。言葉で激励するというより、その堂々たる風格に後輩たちが感化された

▼与那覇寛長先生は名高い校長であった。校長のもとでは、自然に、職員は高い使命感を持って職務に励んだ。先生は何よりも授業を大切にされた。最後の特別記念授業では「走れメロス」を取り上げられた。黒板に書いた文字「信実」が象徴的で、印象に残る。先生は教職員会長としても活躍された。当時、教職員は盛装して総会に参加、会長の格調の高いあいさつに感銘を受け、「日本国民を教育する」ことと、「祖国復帰を実現する」という理想を目指して結束した

▼急に、息子に迎えられてこの地を離れたが、空港で居合わせた私と何度も握手を交わされた。それは、多くの仲間たちへの別れのあいさつであった。

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