2012年7月19日(木) 9:00

「食生活」(行雲流水)

 かつて長野県に旅したとき善光寺近くの郷土料理店に入った。店主は注文した料理の食材等についてあれこれと説明。しばらくすると顔を曇らせ「この頃の若者は注文を聞くとすぐにラーメンと言います。長野に来ても北海道に行ってもラーメンですよ」



▼「土地それぞれの気候風土や地域住民が長い年月かけて育んできた郷土料理は立つ瀬がありません。そのうち料理は全国共通に一本化されるんですかね」と寂しそうにもらした


▼近年本市では雨後(うご)のたけのこのごとくすさまじい勢いで飲食店が増えている。そしてメニューにはいずこも「宮古○○」と宮古の食材を前面に打ち出した郷土料理名が並んでいる。宮古そばやソーキそば等は定番で観光客にも老若男女を問わず人気があると聞く


▼片や学校給食や大手資本が全国に展開する外食産業の浸透によって食べ盛りの子供たちの味覚は特定され家庭それぞれの独自性に富んだいわゆるお袋の味や家庭料理は衰退の憂き目にあると識者は指摘する


▼次世代によってさらなる創意工夫が加味され継承されてきた家庭料理やお袋の味は今や平均的味覚の製造元食品業者によってその地位を明け渡しつつあるというのである



▼親戚や知友人縁者が親しく寄り合い総出で手づくりしてきた祝祭時の料理も手間がはぶけ便利だからと外食業者に依頼する昨今である。児童生徒の遠足弁当も母親の手づくりではなくなってきたようだ。回り道は避け便利さや即席安易さが生活の知恵となりつつある今日、食生活の形態はどこまで変化するのか気になる。