2012年7月30日(月) 23:52

「ロンドン五輪」(行雲流水)

 7月27日、ロンドンオリンピックが開幕、連日熱戦が展開されている。オリンピック憲章によると、オリンピックのモットーは「より速く」、「より高く」、「より強く」である



▼この限界に挑む人間の最高の技を見ることは楽しいことであり、自国の選手への期待や応援は観戦を一層面白くする。一方で、オリンピックの歴史を踏まえて、その理想と現実を見つめることも大事なことである


▼オリンピックの理想は、肉体と精神と知性の均衡の取れた人間の形成を目指す。また、「友情、連帯、フェアプレーの精神を持って理解しあうことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」ことである


▼現実には商業主義と過度の勝利至上主義がある。放送権料の高騰で、一昨年のバンクーバー冬季五輪と合わせて325億円を日本は払い、放送局の経営を圧迫している。多国籍選手を多数起用している国もあり、メダルの数に一喜一憂する傾向は強い。ローマ時代に入った古代オリンピックの末期、優勝者への過剰な褒賞が腐敗を生み、不正が横行したことも「他山の石」としたい


▼近代五輪は二つの世界大戦で中断され、冷戦時代には西側と東側の相互ボイコットがあった。今日、オリンピックの普遍的価値が広く認められ、参加する国・地域が増えた。今回すべての参加国が女子選手を派遣したことも史上初である


▼華やかな五輪の後ろには紛争や覇権、格差や貧困がある。このオリンピックが、よりよい世界への連帯が広がる契機になることが世界の願いである。