宮古毎日新聞(電子板)の試読はこちらから|宮古毎日新聞社

2012年8月2日(木) 9:00

祭祀「ナツブー」復活/平良狩俣

15年ぶり、五穀豊穣願う


アブンマが集うニスヌヤーには集落住民や出身者が訪れ手を合わせていた=31日、狩俣のウプグフムトゥ

アブンマが集うニスヌヤーには集落住民や出身者が訪れ手を合わせていた=31日、狩俣のウプグフムトゥ

 狩俣地区の祭祀が行われる「ウプグフムトゥ」(大城元)のパイヌヤー(南棟)の改修事業が完了するとともに、新たなアブンマ(最高神女)が決定したことから、同地区ではおよそ15年間途絶えていた伝統的祭祀「ナツブー」(夏まつり)が復活し28日から同祭祀が行われた。祭祀の最終日となった7月31日、久貝則子さんらアブンマが集うニスヌヤー(北棟)には、集落住民や狩俣の出身者が拝所を訪れ、祭壇に向かって手を合わせていた。



 ナツブーは。、かつての主食であり、祖(年貢)の対象であった「粟」の収穫に感謝し、向こう1年の五穀豊穣を願う集落の農耕儀礼の一つ。


 ナツブーの様子を見守っていた市文化財保護審議委員で沖縄女性史家の奥濱幸子さんによると、コミュニティーの伝統的な祭祀が崩れつつある現代で、狩俣地区は地域の精神文化をしっかり残そうという気風があり、今回の祭祀復活につながったのだという。


 奥濱さんは「寄り添える魂が見つけにくい時代に、狩俣はアブンマが存在し、自らのアイデンティティーを見出すことのできる素晴らしい場所。いつまでも残していくことができれば」と話した。


 狩俣出身で現在、鳥取県に住む狩俣米克さんは、帰省した際にナツブーの復活を知り、妻典子さん、長男晴紀君とともに同所を訪れ手を合わせた。狩俣さんは「宮古を離れて27年になるが、故郷から離れれば離れるほど、こうした伝統的祭祀が続くことを願う気持ちが強くなる」と話していた。