2012年8月8日(水) 22:20

さてと保存食/柳ヶ瀬 清美

2012.8.9 ペン遊ペン楽

 

 保存食といえば代表的なものが梅干し。食欲のないとき、弁当に一粒入れて腐敗防止にと夏には欠かせない。結婚して数年後、知人に青梅をいただいたのが私と梅の保存食との出合いである。さっそく知人に教えを請い、まずはいただいた青梅で梅酒に初挑戦。ホームセンターに走り広口でふたの赤いビンを買い求め、氷砂糖と梅を交互にビンに入れて焼酎を注ぐだけ。わくわくしながら半年待ち、初めての自家製梅酒に大げさだが興奮したのを覚えている。次に梅干し用には熟れて黄色みがかったものを使うといいという教えに従い八百屋に走った。



 以来今日まで毎年のように梅を漬けているが、その他の保存食作りも季節ごとに楽しんでいる。季節ごとというよりもほぼ毎月である。梅干しに挑戦した頃、ある週刊誌(LEE)を買ったところ保存食カレンダーの付録が付いていて、面白そう!と思ったのが始まりで、1月の黒豆から12月のキンカンまで旬の素材を漬けたり煮たり。こんなことしていても誰も褒めてくれはしないけれども、ましてや息子は牛肉のソース漬け以外はあんまりーと喜んでいるようには見えないけれども、よくぞ続けられるわねと自分に感心している。難儀さを感じ面白くなくなったら、いつでもやめようと思っている。


 保存食作りには宮古の島ラッキョウも欠かせない。ねえねえたちから送ってもらい漬けている。送られてくるのがいつになるのかまったくつかめず、梅が出回る頃に届くと並行して漬けるため大忙しである。その上、葉つき泥つきのままなのでその掃除に手間がかかる。その年によってはもう「なんぎーだなあ」と思いスーパーのきれいな「鳥取砂丘ラッキョウ」に目が行くこともあるのだが、やっぱり宮古のでないと気が済まないので思いとどまる。ラッキョウの油みそには島ラッキョウがちょうどいい大きさなのだ。鳥取のは粒が大きすぎる。どんなに忙しい日でもたとえ徹夜になろうとも、送られてきたら2~3日の間に掃除を済ませてしまい、塩漬けし冷蔵庫に放り込んでおく。こうすると1年は優に持つ。時間が空いたときに、甘酢漬けにしたり、梅酢漬けにしたりする。もちろん保存食ではないが、野菜いためや、おひたしなども島ラッキョウならではの食感が味わえて私は好物である。小粒ではあるが一日数粒のラッキョウは夏を乗り越えるためのパワーの源と言えば大げさだろうか? また、こんなに小さいのは漬けものにはどうかな?という人もいるが、何のその油みそなどはビールに程よく合うのだ。甘酢漬けはカレーライスの薬味にもちょうどいい。


 余談だが、ここ内地のスーパーにもときどき本島産のラッキョウが出ているときもある。ほんのひとにぎりで結構な値段で売られている。沖縄料理の居酒屋でも「高すぎ~」と文句を言ったほどだ。それを思うとただでもらえることを宮古のねえねえたちに感謝しなければいけない。


 さて今年は今頃梅の天日干しをする。今頃でごめんと梅に謝ってもしょうがないが、今年もうまいこと漬かっていい具合に色づいている。三日三晩ひっくり返しながらの土用干し。これでふっくらと柔らかな梅干しができるはず。毎年同じように漬けても毎年今年が一番おいしいと思うのはなぜだろう? 自己満足に過ぎないが。梅酒のほうはというとこれまたまろやか。すぐに炭酸で割ってラッキョウをつまみに飲みたいのだが、もう少しさらりとするまで待つことにしよう。


 保存食といっても私のレパートリーは限られているが、たとえ自己満足でも手作りのおいしさを求め季節の味を楽しむのは、私にとっては唯一の贅沢なのだ。と書けばかっこいいかもしれないが、作るって大変なのだ。
(宮古ペンクラブ会員)