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行雲流水
2012年9月3日(月)21:24

「沖縄県宮古島医療史」(行雲流水)

 人は誰でも長生きして、生きている限り快適に生活ができて、自己実現を達成したいと願う。そのためには安心できる暮らしと教育と医療は不可欠である


▼昨年末、社団法人・宮古医師会によって『沖縄県宮古島医療史』が発行された。このことは医療関係者だけでなく宮古全住民の喜びとなる

▼この書籍の第一の印象は、膨大な資料や文献を駆使した内容の豊かさである。歴史編では前近代から復帰後までの宮古の医療の状況と、その時々の時代背景が綿密に記載されている

▼例えば、前近代では、首里王府が宮古に医師を派遣しており、医師の養成にも尽力している。近代に入ると、西洋医学が導入され、盛島明長を第一号に医学専門学校を卒業した医師が次々に誕生する。戦時下では開業医が軍医予備員として招集され、一般診療については医師不在の状況があった。敗戦直後は食糧や医薬品の不足の状況があり、悪性マラリアの流行があった

▼宮古では、マラリアやフィラリア、ハンセン病、コレラや結核、風疹による障害等に適切に対処してきた。その際の医療関係者と行政と地域住民の緊密な連携・協力は特筆される

▼宮古医師会は地域の医療を担うばかりでなく学校保健や地域行事に参画してきた。日進月歩する医学の世界にあって、定期的に学術講演会や症例研究会を開催して研修を深めている。歴代会長等の文章に医療者に共通する崇高な使命感を読み取ることができる。写真(グラビア)に見る宮古の医療の礎を築いた方々の姿が懐かしい。

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