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2012年11月17日(土)22:44

饒平名 正也さん(66歳)/弁護士

古里への恩返しに


饒平名 正也さん

饒平名 正也さん

 野原越公民館近く、閑静な集落に乳白色を基調とした清楚な平屋の住宅。広い庭は色とりどりの植物が丹念に植栽され、片隅にはガジュマルの大樹。「ここは私の産まれた所です」とにこやかに語る饒平名さん。一昨年45年ぶりに里帰り、冥府の人となった両親の古い家を解体し、昨年、妻の八重子さんと終のすみかとなる新居を構えたのだった。「本当は、古里でのんびり過ごしたいという思いだったが、これまでやってきたことで古里に少しでも恩返しができたら」と、今年2月事務所を開設した。


 帰って来て一番気になっているのは人口減だという。「市街地の発展は目覚ましいが、うちの周辺には子どもたちの声が聞こえない。小さいころは、子どもが多くて活気に満ちあふれていた。今では、声どころか空き家が目立つ。これからの宮古を考える上で、なぜ人口が年々減っていくのか、学校統合のことも含め皆で考えていく大きなテーマだと思う」と、宮古の将来に真剣だ。

40年近く司法の道を歩いてきた。「都会に比べれば宮古はのんびりした平和な島だと思うが、事務所を開いてみて感じるのは、酒がらみの事件や身内間のトラブル、サラ金問題、土地の所有権争いなどがあることが分かった。特に身内間のことは、こじれると解きほぐすのに時間がかかる」と話し、少しずつ地域性が見えてきたようだ。

 デスクワークが主な仕事で、気分転換に30代からテニスに親しんできた。宮古でもテニス協会の仲間たちと週2回楽しんでいる。「適度な運動は大切。長寿社会を保つにはストレスのない社会にしなくてはならない。宮古の人たちはノルディックや軟式テニスなど、高齢者が積極的にスポーツを楽しんでいる。とても素晴らしいことだと思う」。ただ八重山と比べて街中がきれいとは言えないという指摘も。

エコアイランドと言えるように島をきれいにしていく努力が必要と、新鮮な目で古里を見つめ始めた。「宮古の良さは私もよく知っているし、変えていくことが望ましいことと望ましくないものとがある。これからは宮古が良い方向へ変化していくさまを見届けたい」

 饒平名 正也(のひな・まさや)1946年11月12日平良野原越に生まれる。宮古高校を卒業後、65年中央大学法学部に入学。司法修習生を経て71年、検事に任官。東京地検を皮切りに西日本の地検・高検勤務を経て、2001年検事として30年間の公務員生活を終え同年6月から公証人として活動。10年暮れ、古里へ帰り今年2月から「あおぞら法律事務所」開設。八重子さんとの間に3女、孫2人。

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