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ペン遊・ペン楽
2012年11月21日(水)22:26

成人式へようこそ/上原 みち子

2012.11.22ペン遊ペン楽

 

 今年も残すところひと月余りとなった。あわただしく過ぎていく11月、そして迎え来る師走。この季節になると、年々一年を早く感じるのは私だけではないだろう。以前読んだ本で、なぜ年をとると時間を早く感じるのかということについて、時間の感じ方は相対的なものであるからだと書かれていた。10歳児にとって1年は10分の1の長さであるが、40歳にとっては40分の1である。そのため短く感じていくのだとか。


 過ぎた日々を振り返り、あれもしてない、これもまだだと、今更ながら焦り出すという私恒例の過ごし方が問題なのだろうが。そんなプライベートと裏腹に、公務では新しい年の幕開けイベントの準備に追われている。「成人式」である。2013年の新成人たちはちょうど私の半分、彼らが生まれた年に迎えた成人式を思い出しながら、今更ながら成人式ってなんだろうと考えたりする。

 20年前、故郷を離れ学生として過ごしていた那覇市で迎えた成人式に、振り袖を着るという発想はなく、かといって欠席するという考えもなく、ジーパンにジージャン(当時の私にとっては一張羅!)で式典に臨んだ。来賓挨拶中のおしゃべりの声に「服装より中身が大事だ」と華やいだ中で浮いている自分を奮い立たせていた。そのくせ激励の内容なんて全く覚えていないのだから、私もかなりの青二才だと赤面の至りである。

 写真があるわけでもないが、記念品としていただいた壺屋焼のコーヒーカップを親元に送ったことだけが、出席した意味であったかもしれない。

 時を経て、来春マティダで迎える新成人の中には、若い頃の職場であった学童保育で出会った子どもたちも数多い。小さくて元気に走り回っていた彼らを思い出し、どれだけ凜々しいキレイな大人になっているだろうかと心躍る。

 成人式の是非は毎年そこここで議論されている。成人の法的意味と実際の多くの二十歳の姿にギャップを感じることもあるからだろう。しかし現代のような成人式の始まりが、戦後の廃墟の中、次代を担う青年たちを励ましたいという趣旨だったことを考えると、先行きの見えにくい現代社会で、ここまで育ってくれたことに「おめでとう」、そして「ようこそこの社会へ。一緒にがんばろう」。私自身はそんな気持ちでいる。

 近年、成人式でのマナーの悪さが指摘される一方、さまざまな自治体が趣向を凝らし、成人式を盛り上げている。新成人自身でつくる実行委員会主催も多くなった。宮古島市〈平良地区〉では前回、新成人の周囲の方にも参加してもらおうと、恩師や親、地域の方からのメッセージを募集し、会場内に掲示、終了後は自分に宛てたものを持ち帰ってもらった。そこには「これからもずっと応援しているよ」というメッセージがたくさん寄せられた。

 来年はもう一歩、参加型を進めてみたい。成人者自身の「二十歳の決意」を募集したいと思う。ぜひ舞台で!という方にはお願いしたいし、紙にしたためてくれたものは会場に掲示したい。私たちは聞いてみたいのだ、本当のところの二十歳の声を。

 宮古島市の成人式は旧市町村地区ごとに行う。取り組みは地区ぞれぞれ異なるので担当事務局にお問い合わせいただきたい。

 〈平良地区〉の事務局は教育委員会生涯学習振興課。
 新成人も、とっくに成人した大人たちも、一緒に成人式をつくりませんか。
(宮古ペンクラブ会員)

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