2012年11月28日(水) 23:36

「感情と理性」(行雲流水)

 西洋では「隣の芝生は青い」と言い、日本では「隣の花は赤い」と言う。洋の東西を問わず、深層心理は共通のようだ。だが、それが向上心のバネになるか、ヤキモチ焼きの青い炎になるか、潮目は微妙だ



▼パーキンソンの法則を説明する例話に「億万長者は一夜にして生まれる」というのがある。中国のクーリーは地下のドラム缶にカネをため込んでいるが、あばら家に住んでおかゆをすすり、粗末な服を着て暮らすという。世間の目をそらすためだ


▼やがて使い切れない金額に達したら、アメリカに渡って豪邸を手に入れ、慈善事業に寄付などして知名士になる。億万長者の誕生だ。パーキンソン教授は、累進課税制度のもとでは金持ちにはなれないと皮肉ったのだが、人間の深層心理をも衝いている


▼間もなく総選挙だ。昨今の政界ニュースを見ていると、架空のたとえ話よりも奇怪だ。「崇高なステーツマン」像は仮装で、「ただの人」になりたくない一心が本音のように見える。感情と理性の葛藤はテレビドラマの定番だが、打算を加えると政界ドラマになるようだ


▼選挙戦は感情に火がつけば熱くなり、投票率も上がる。現地運動員は火付け人に徹し、理性は埋没しがちだ。熱くなった分だけ〝しこり〟が残ることに


▼選挙戦にもスポーツマンシップを期待できないものか。スポーツマンはルールに従って全力で戦い、勝っても負けても「相手に対する礼節と尊敬」を忘れない。隣の芝生をながめる際の心のゆとりは、「成熟度」のバロメーターになるのでは。