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【特集】新年号
2013年1月1日(火)8:52

紫イモを産業化へ

ペースト加工本格化


出来立てのペーストを手に最高の品質をアピールする職員たち

出来立てのペーストを手に最高の品質をアピールする職員たち

 イモは1597年に、砂川親雲上(うるかぺーちん)が、唐から持ち帰ったとされる伝統の作物。50年ほど前まで宮古では主食として君臨し、盛んに栽培されていた。2011年に市が紫イモの加工までを行う6次産業化計画を打ち出し、復活へ機運が出てきた。


 6次化の基軸になるイモのペースト加工施設は、昨年9月に本格稼働した。市の委託を受け、南国食楽Zu(宮城正明社長)が管理運営している。生産目標は日量0・4㌧、年間に120㌧を設定した。

 ペースト加工に向けては、原料の安定供給や品質管理などを目的に昨年8月、宮古島市いも生産販売組合が発足した。組合員は147人。キロ当たり買い入れ単価は、120円。昨年11月末までに26㌧を買い取り、農家に317万円を支払った。組合は仮集荷場を上野と下地に設けた。職員が虫の食害痕がないかを検査し、受け入れている。組合のイモは、南国食楽Zuが買い取る仕組みだ。

 加工施設では、8人の職員が働く。イモは洗浄機で洗い、機械でスライスして蒸す。ペーストに加工し、機械を使って1㌔単位で袋に詰め、真空パックして製品が出来上がる。

 昨年は、全国コンビニチェーンのローソンに販売した。この時は、1日に1㌧製造したこともあったという。沖縄ファミリーマートも、宮古島産紫イモのペーストを使ったデザートを開発販売し好評を博した。オキコや具志堅パン、地元の製菓業者にも販売。学校給食センターにも納品している。昨年暮れには、あんの生産を開始。大手商社との取引も始まり、明るい展望が開けた。地元の家庭向けには、菓子作り講習会などを開き徐々に普及していくという。

 宮古は日本最古のイモの伝来地とされる。宮城社長は、この歴史が宮古島産イモのセールスポイントと強調する。「宮古の土壌は、イモに一番合っている。紫がきれい」と太鼓判も押す。「イモを少しでも多く販売し、地域経済の活性化につなぎたい。販路開拓が、自分の宿命だと思っている」と今年に懸ける抱負を語った。

 宮古の農作物は11年5月の台風2号襲来時に、大被害を受けた。収穫途中の葉タバコは全滅、基幹作物のサトウキビも大不作となった。下地敏彦市長は生産販売組合設立総会の席で「台風に強い作物の導入を検討した結果、イモに行き着いた」と、白羽の矢を当てた背景を語った。

 市は今後の販売状況を見て、大量の需要が見込めた場合は、5年後に新工場の建設を構想しているという。2021年度の生産は2520㌧、3億7800万円を計画している。 

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