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インサイドリポート
2013年5月1日(水)22:57

サキシマハブ初発見

市民に憶測広がる/待たれる生態調査研究


 宮古島では生息していなかったサキシマハブが4月19日、平良港第1埠頭近くの「ひらりん公園」内で発見、捕獲された。「人が持ち込んだのか」「沖縄本島などから運ばれてきた農作物の中に入り込んだのでは」。市民の間に、さまざまな憶測が広がっている。最大の不安は「住み着いているのか」だ。農家は対処に困惑し、観光協会は風評被害の影響を懸念している。市民の安全確保のためにも、専門機関による生態調査や研究が必要ではないか。


 ■行政機関も戸惑い

 

 発見、捕獲したヘビは、ペットボトルに入れて、発見者の男性(19)の身内(男性、25)が19日夜、宮古島署に持ち込んだ。
 同署は「保健所がハブと判断しない限り対応できない」と拒否。このため男性は、自宅にいったん保護し、翌20日に、宮古福祉保健所に届け出た。
 しかし、同所でも「うちでは預かれない」と断られたため、男性は「生きたまま放すべきか」と途方に暮れたという。
 その後、しばらくして同所から「先ほど持ってきたヘビを持って来てほしい」と連絡があったという。
 沖縄本島では、市民がハブを発見し手に負えない場合は、最寄りの警察に連絡し捕獲などしてもらう。
 また、発見したが逃げられた場合などは役所に連絡すればハブ担当者が対応するというシステムが出来上がっているという。
 県衛生環境研究所衛生科学班は「宮古はそもそもハブが生息していなかったため、発見した場合の通報などのシステムが確立されていなかった」と話す。


 ■観光への影響懸念

 

 宮古観光協会は「海や陸に住む危険生物は水際で阻止する対策が必要ではないか」と話す。
 「宮古島には山がない、川がない、ハブがいないというのも観光の売り」と強調した上で「住み着いていないことを祈るばかりだが、関係機関はしっかりと調査やパトロールを実施し、不安を取り除いてほしい」と語った。
 普段はサラリーマンだが土、日は農業という代男性は「ハブのことなど、まったく頭になくこれまで農業をしてきた。ハブ発見のニュースを聞いた後は、畑に行く時に運動靴で良いのかなとふと不安に思う時がある」と話した。
 一方で、捕獲された場所が港に隣接する公園内だったため「沖縄本島などから移送された農作物や資材などに紛れ込んだのではないか。住み着いている確率は低いと思う。あまり心配はしていない」と影響が出る可能性は少ないと見る市民もいる。


 ■対策会議など開催へ

 

 ハブ捕獲を受け宮古福祉保健所では、5月にも県衛生環境研究所や市、宮古島署などの関係機関を集めて対策会議を開く予定だ。ハブに関する講習会も計画されている。
 市民からの相談を市でも受けられるよう、対策会議を通して情報を共有する方針だ。
 現在、ハブに関する相談は福祉保健所が窓口になっている。ハブ捕獲、発見以降、市民からの情報は警察を通して1件あったが、同所によるとアカマタ(無毒)だったという。
 「住み着いているのか」「宮古島でも生息できるのか」。市民の安全を守るためにも、詳しい生態調査や研究が待たれる。
 なお、発見、捕獲されたサキシマヘビの重さ(16㌘)が「三色ボールペンと同じ重さで、軽すぎないか」との問い合わせが複数の市民からあったが、鑑定した県衛生環境研究所衛生科学班では「ごく普通の重さ」だという。


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