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人生雑感
2013年5月2日(木)21:30

「子どもに対する親の愛の伝達の実践訓練の必要性」

日本親業協会親業インストラクター 福里 盛雄



1 親が子どもを愛するには訓練が必要である。

 親は子どもを愛しています。それは親として自然の感情である。しかし、親の自然の感情だけに任せておくと、親が自分の子に対する愛を上手く実現できない場合が多い。そのために、親と子どもとの間に親の愛が十分に伝わらないで、親子関係がギクシャクする。子ども虐待や親殺しの悲しい事件が、多発しているのは、親が子どもを愛するとはどういうことかを理解し、その愛を正しく実践する訓練が必要である。


 親の子どもに対する本能的愛に期待するだけでなく、子に対する愛を理解し、愛する訓練によって愛する技術を身に付けさせることが、重要課題である。このことは、次のように言い換えることができると思います。如何にダムにきれいな水がいっぱい蓄えられていても、正しい技術によって土木工事をして水道管を施設しない限り、家の蛇口には一滴の水も届かないと同じです。それと同じように、親がどんなに子どもを愛していても、親が子どもを愛する親の気持ちを正しく伝えなければ、愛していないのと同じである。ある時には、子の感情を害することにもなりかねない。こんな時、親たちは、子どものことをこれ程愛しているのに、なんで子どもたちは、親の気持ちを分かってくれないのか、と悩むのです。子どもを愛する親の気持ちの伝達法について二つの例を挙げましょう。

2 子どもに対する親の愛の伝達実践訓練の例

 (1)子どもが「お母さん、国語の試験を百点とったよ!」と喜んで帰って来た場合、親はどんな対応をすることが、その子を愛していることを正しく伝えることになるのか。一般のお母さんは、①国語だけ百点なの?②別の科目も百点とってね。③夢はもっと大きくもって全科目百点取るようにがんばらなくちゃ。④なあ、頑張れば百点も取れるでしょう。⑤国語の試験百点取って嬉しそうだね。お母さんも嬉しいよ。今晩は美味しいおかずをつくるからね。この場合は、⑤のお母さんの対応が適切である。なぜならば、子どもの喜びを共に喜んでいるからである。

 (2)男の子が友人の和夫君が転校するので、悲しそうに泣いて学校から帰って来た。この時、一般のお母さんの対応として考えられるのは、①それぐらいのことで泣く子がいるか。②また新しい友達をつくればいいさ。③転校しなければならないこともあるさ。④世の中は自分の思う通りになるとは限らないんだよ。⑤親しい和夫君が転校するから悲しいんだね。和夫君とはとても仲良しだったからね。一般の親は、子どもの成長のために、もっと大きい夢を持たせるために、子どものことを愛するがゆえにいろいろと励ましたり、諭したり、指示したりします。「喜ぶ者といっしょに喜び、泣く者といっしょに泣きなさい」(ローマ書12・13)。このことばを正しく実践しているお母さんは、いずれの例でも⑤のお母さんである。なぜならば、⑤のお母さんが子の気持ちを心から受け容れているからである。子どもは自分の気持ちが受け容れられていると感ずると、自分はお母さんから愛されていると実感する。子どもに対する母親の愛は、子どもが自分を好きになり、自分の喜怒哀楽の情を積極的に表現する子に育てる原動力です。そして自分の能力を他の物事に対しても、挑戦する勇気を持つようになる。ですから、親は子どもを励まし、もっと大きい夢に向けようとする前に、現在の子どもの気持ちを注意深くくみとり、その子どもの気持ちを親も共有していることをはっきりと伝達することの訓練が必要であると考えます。良い親とは、子どもの気持ちを共有できる親である。

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