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行雲流水
2013年5月8日(水)22:50

「母の日」(行雲流水)

 5月の第2日曜日は「母の日」。法定祝日ではないが、国民の間では広く知られ、定着している記念日だ


▼古来、「母への思い」は共感を呼んできた。「子育てをしてみて、母の苦労がわかるようになった」。「孝行したいときは、親はなし」。母親への感謝の気持ちは、年とともに募るようだ

▼今の70代の母親たちは1950年代に成人した。当時は映画全盛時代。三益愛子主演の〝母もの〟がはやったのもその頃だ。育ての親のもとで幸せに暮らすわが子。それを遠目に見ながら名乗れない産みの親。その哀切感が涙をさそった

▼1970年代はテレビアニメ全盛時代。「母をたずねて三千里」が大ヒットした。原作は、1886年にイタリアで書かれた「クオーレ」(イタリア語で「心」の意味)。アルゼンチンに行った母を捜しに旅立つ少年のけなげさが人気を博した

▼1990年代には、島田洋七の「がばいばあちゃん」が400万部を売り上げるロングセラーに。母のもとを離れて、祖母と2人で暮らす洋七少年の〝超〟貧乏物語だ。〝ウムートー カナーイン〟(思っても、かなえられない)現実をたくましく生きる3代の親子がいた

▼過ぎ去った時代を振り返ると、生活は貧しくても親子の絆があり、惻隠の情(思いやり)を育む基盤があったように思える。対照的に、最近のテレビニュースやドラマで見聞きする親子関係は、殺伐としていて尋常ではないように見える。「おだやかな日常」もまた、還暦を過ぎた母親たちにとっては喜んでもらえるプレゼントの一つかもしれない。 (柳)

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