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行雲流水
2013年6月17日(月)22:54

「ダークマター」(行雲流水)

 ♪、「月なきみ空にきらめく光/嗚呼その星影希望の姿/人智は果てなし無窮の遠に/いざその星影きわめも行かん」。この歌を「僕らの歌だ」という天文学者がいる。確かに、歌われているのは、宇宙を極めんとする天文学の姿勢そのものでもある


▼画家がカンバス上にひとつの世界を描くように、妙なる調べを奏でる音楽家のように、彼らは宇宙を探求、その調和に満ちた神秘的な姿を私たちに示す

▼科学雑誌『Newton』(ニュートン)が紹介する世界は、理性が描くロマンである。最近の特集では、「ヒッグス粒子」や「ダークマター」(暗黒物質)を取り上げている

▼昨年、世界の物理学者たちが半世紀にわたって探求してきたヒッグス粒子と見られる新粒子が発見された。すべての物質を構成する素粒子に質量を与える粒子で、質量のある宇宙に存在の根拠を与えるものと言われる

▼回転する渦巻き銀河は質量が集中する中心付近がより速く回転するはずだが、実際の運動は宇宙全体に質量を持ったあるものが充満しているように起こる。それは直接観測できないが、存在するのは確かである。いわゆるダークマター(暗黒物質)である

▼すべての存在は深いところでつながっているように思える。詩人は詠う。「すべての見えるものは、見えないものにさわっている/聞こえるものは、聞こえないものにさわっている/感じられるものは、感じられないものにさわっている/おそらく、考えられるものは、考えられないものにさわっているだろう」(ノヴァーリス)。(空)

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