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2013年7月20日(土) 9:00

パヤオ(浮魚礁)/粟國 雅博

私見公論78


 パヤオと聞くと読者の皆様は何を思い浮かべるでしょうか?外国の都市名?…実は沖縄では浮魚礁のことを「パヤオ」と呼んでいます。このパヤオの語源はタガログ語、フィリピンの言葉で筏を意味する「PAYAO」がそのまま呼び名として使われています。



 なぜ、フィリピンの言葉なのか?パヤオとは海洋食物連鎖を利用した集魚装置で、稚魚などが浮遊物に身を隠す性質やロープやブイに付着した藻などを餌とする目的で集まった小型の魚類、さらにこれら小型の魚類を餌とする大型魚類が集まる性質を利用した集魚装置です。


 パヤオは40年ほど前、伊良部漁協の漁船が南太平洋のラバウルやパラオなど南方海域で流木群から1週間も連続してカツオを大漁したことをヒントに考案されたものです。パヤオは昭和44年ごろから伊良部出身の漁業者がパラオやラバウル海域で何度も試行錯誤を続けながら開発されたものですが、沖縄では南方のカツオ基地から伊良部に帰省した漁業者らによりその存在が伝わり、昭和56年に旧伊良部町水産振興課の補助をうけて設置されたのがはじまりです。このようにして、伊良部島は日本のパヤオ発祥の地となりました。


 設置の翌年以降、伊良部漁協のパヤオからの漁獲量が大幅に向上したことをきっかけに沖縄本島をはじめ、日本全国に広まっていき、呼び名も「パヤオ」のままで全国でも通用しています。宮古諸島の周りには、宮古島の北側に10基、南側に7基のパヤオが、漁協や沖縄県の事業によって設置されており、今年度は新たに6基の設置が予定されています。


 パヤオは水深1000㍍の深さから海洋表層または海面から50㍍ぐらいの中層にブイなどを用いた浮力体で構成した魚礁にロープをつないで設置してあります。ロープの長さは2000㍍以上になる事もめずらしくありません。


 それまでのカツオ・マグロ漁は、大海原で鳥の群れを探し走り回るなど就労的にも経費的にも非効率な形態が中心でありましたが、パヤオの設置後はそのような鳥群を探し回ることが少なくなり、労働力の軽減や燃料費などの経費節減に大きく貢献しています。


 しかしながら、このような画期的な成果を上げてきたパヤオにおいても、近年、なかなかカツオ・マグロがついていない現象も見受けられます。その大きな要因として、南方海域における無秩序な巻き網漁による小型マグロの乱獲が原因ではないかと漁業者は考えています。このシリーズ投稿においても何回か海洋資源を適正に管理することの重要性を書いてきましたが、漁業者は海から資源がなくなれば生活を成り立たせることはできません。そのため、無秩序な操業については、国をはじめとした関係各位に何らかの対策を講じて頂きたいと思います。


 さて、8月8日は「パヤオ」の語呂にあわせて、2007年にパヤオの秩序ある利用の推進、漁師の生活安定・向上を目的に「パヤオの日」として制定するとともに、毎年その前後に、パヤオの恵みに感謝し水産振興のさらなる発展に向けたイベントとして「パヤオの日」まつりを開催しています。今年の「パヤオの日」まつりは8月11日(日曜日)午前10時より伊良部島の伊良部漁協で開催されます。パヤオに関するパネル展や海洋動植物のタッチプール、モズクのつかみ取り、カツオ一本釣りの模擬体験など海と触れ合える多彩な催しがありますので、皆様ぜひご家族でおいでくださいませ。


 漁民一同、真っ黒に日焼けした笑顔でお待ちしております。