2013年7月30日(火) 9:00

「瑞穂の国」(行雲流水)

 日本は「瑞穂の国」と言われてきた。瑞穂とは、みずみずしい稲穂のこと。稲が多く取れることから瑞穂の国は日本の美称となった



▼古来より延々と続く稲作は日本人には特別なものであった。それは生活の糧を生み出すだけでなく、一面に続く稲畑や豊かに垂れる稲穂の美しさは詩歌にも多く詠まれ、日本人の美意識を育む原風景ともなった。また生育過程に沿った規則正しい労働を要する稲作は日本人の勤勉さの形成に大きな影響を与えてきた


▼稲畑周辺に形成される多様な「里山」をテレビはナレーションで称える。「里山、それは人と生きものが共に暮らす自然、共に響きあう美しい世界」。集まった人々は集落をつくり、豊穣を祈る信仰や祭りで結びついた。従って、稲作が衰退すると、地域経済の打撃になるだけでなく、自然景観を損ね、地域社会や文化を崩壊させかねない


▼コメの関税が撤廃される場合、政府試算によると、コメの生産量は3割減少、生産減少額は1兆円を超える。政府が関税協議で、関税撤廃の対象からコメを除外するよう求めていることは当然だが、難航は必至だとみられている


▼立地条件からして、沖縄ではサトウキビがコメに代わる。日々生長していくサトウキビを見る喜びは生産意欲をかき立てる。関税が撤廃される場合、政府の影響試算によると、生産減少率は100%、生産減少額は1500億円である


▼関税が撤廃された場合、何らかの対策を講ずるとしても、地域格差は拡大、地域がいびつになることは確実である。(空)