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2013年11月7日(木) 9:00

「食材偽装」(行雲流水)

 メニューに載っている「焼き魚」を注文したら、「揚げ魚」が出てきた。塩をまぶして火で焼いた魚を期待していたが、違っていた。聞くと「自分たちの島では、油で揚げた魚を焼き魚という」との返事。復帰直後、那覇市内の農協系宿泊施設で遭遇した出来事だった


▼昨今は、本土の大手ホテルで食材偽装事件が相次いでいる。前述の魚は素朴な「誤表示」だったが、こちらは欲にかられた意図的な「偽装」だ。社長が辞任しただけではおさまりそうもない。信用を失えば、会社は立ち行かなくなるからだ


▼「信なくば立たず」。孔子は、政治の要諦は軍備と食糧と民衆の信頼の三つだと言った。弟子が三つのうちで一番大切なものは何かと問うと、民衆の信頼すなわち「信義」であると答えた。信義がすたれたら国も世間も家庭もうまくやっていけるはずがない、と


▼うそを言わず、正しい道を守っているかどうか、評価は他人がするもの。信頼がなければ、人間関係も事業も社会も成り立たない。今や、消費者の不信感は食品業界全体に向けられつつある


▼5年前、台湾産マンゴーを宮古島産と称して出荷した産地偽装事件があった。沖縄本島で起きた事件だったが、「宮古島」ブランドの信用力が著しく傷つけられた。宮古島のマンゴー生産者は、信用回復・保持のための努力を今も続けている


▼職業倫理を忘れた社会に、発展の余地はない。職業人が職業倫理を守ることは当然だ。さらには運転マナーなど、市民としての立ち居振る舞いまでもが信頼できる社会風土でありたい。(柳)