新伝統工芸館 工事進ちょく率44%/2月完成へ順調
宮古上布の発信拠点に/上野野原
市が沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)を活用して現在の宮古伝統工芸品研究センター=平良西里=を上野字野原に移転するため新築工事を進めている「宮古島伝統工芸館」は8月7日の着工以降、順調に工事が進められ、11月30日現在、工事進ちょく率は累計44・13%に達している。
同施設の敷地面積は2700平方㍍、建物の延べ床面積は1007平方㍍と施設規模はかなり大きい。総工費は約2億6900万円で、市持ち出し分が約5340万円で残りすべてを一括交付金で充当している。
同伝統工芸館は宮古上布生産のほか、苧麻を原料にした和紙などの紙すきによる生産も行い、宮古の伝統工芸品を広く島内外に発信する拠点施設となる。
国の重要無形文化財である「宮古上布」の伝統保持と宮古の伝統工芸品の生産および販路拡大、宮古島産工芸品の生産振興などを目指して、同工芸館の建設計画は決定した。8月6日の起工式後、すぐに本格的な工事に着手した。
同工芸館の敷地には苧麻畑、藍畑、糸芭蕉畑を造園するほか、苧麻糸生産、苧麻績みから機織りまでを一貫して行える施設形成にする予定だ。
そのほか、絣織室、藍染室、草木・染織室、検査室、織子養成室、多目的作業場、伝統工芸品展示室などを充実させ、苧麻を原料にした手すき和紙の生産体験コーナーなども設けることになっている。
同工芸館の新築工事を所轄する市観光商工局の下地信男局長は「見事な施設が完成することによって、宮古上布などの伝統工芸品はもとより宮古の商工物産の全体的な振興や観光振興にも大きな波及効果をもたらすものだ」と述べ、同工芸館の順調な工事進行と竣工に力を注ぐ考えを示した。
当初の工期予定より1・53%進んでいる状況だ。今週にも建物外壁を取り囲んでいる支柱サポート類を取り外し、窓枠、建具類などの内装工事にも着手する。敷地を取り囲む外構壁は地元産コーラルを使用するなど重厚な作りで、関係者から竣工を待つ声が聞こえている。