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行雲流水
2013年12月19日(木)8:55

「歳末助け合い」(行雲流水)

 「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」(最澄)。一人ひとりがそれぞれの持ち場で全力を尽くすことで社会全体が明るく照らされる、という意味であろう。今の言葉で言う「生命の尊さ」、「奉仕の精神」、「共生の思想」が込められているように思える


▼歳末たすけあい運動が展開中だ。全国的な活動団体としては日本赤十字社やNHKなどがあり、これに協力して各地の児童生徒や婦人会などが活動している姿はなじみ深い。世界の困窮地域の人たちを救援し、激励する意義は大きい

▼昭和20年代、日本は救援を受ける側だった。〝ララ物資〟を覚えている高齢者は多いはずだ。LARA(ララ)とは米国で設立されたアジア救援公認団体の略称で、昭和27年まで衣料や食糧(脱脂粉乳など)を日本へ送り続けた

▼近年、日本でもNPO法人等の活動が盛んだ。小規模団体の現地密着型支援が喜ばれているからだ。欧米では、一定の要件を備えたNPO法人等に寄付した人や企業に対し、所得税等から寄付金が〝控除〟される仕組みがある。NPO法人等の活動資金を集めやすくするためだ。日本にも〝軽減〟策はあるが、欧米の控除策より消極的だ

▼知事が認定する小規模団体が多いほど、また寄付金に対する優遇策が厚いほど支援活動は活発になり、世の中も明るくなりそうに思える。だが、支援資金の〝官から民へ〟の転換はなかなか進まない

▼理想はともあれ、脚下照顧。今できることから始めたい。一隅を照らす気持ちで1年を締めくくり、明るい新年を迎えたいものだ。

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