2014年1月28日(火) 8:55

「吉野弘の詩」(行雲流水)

 現代詩は多くが難解である。しかし、吉野弘の詩は平易な言葉で書かれているが、含蓄が深い。そこには、生命への温かいまなざしがあり、人間を疎外するものは摘発する


▼断片的であるが、彼の詩の中から印象に残る言葉を拾ってみたい。『夕焼け』の少女は電車の中で二度老人に席をゆずるが、三度目は席を立たずにうつむいてしまう。なぜだろうか。詩は詠う「やさしい心の持ち主は、いつでもどこでも、われにもあらず受難者となる」


▼芙蓉の花のおしべは自家受粉をするような形になっておらず、他者に開かれている。逆に、花の自己完結には他者の力を借りる。詩人は書く「生命は、その中に欠如を抱き、それを他者から満たしてもらうのだ」


▼『贈るうた』では、子(奈々子)に語る「自分を愛することをやめるとき、ひとは他人を愛することをやめ、世界を見失ってしまう」。結婚する二人には「生きていることの懐かしさに、ふと胸が熱くなる。そんな日があってもいい。そして、なぜ胸が熱くなるのか、黙っていても二人にはわかるのであってほしい」


▼幸福のシンボルと呼ばれている四つ葉のクローバーは奇形であると知った詩人は、幸福の追求は倫理的であると承認しながらも、そこに何かいびつなもの、あるゆがみを覚えて、「ありふれた三つ葉であることに耐え切れぬわれわれ自身が何ほどか奇形ではあるまいか」と思う


▼解釈や感想はそれぞれでいい。ただ、詩人は読者の思考や感性を触発する。吉野弘氏は1月15日に死去された。

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