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2014年2月23日(日) 8:55

富浜 定吉さん(84歳)/元校長

伊良部方言辞典を出版


富浜 定吉さん

富浜 定吉さん

 【那覇支社】「若い人が方言を使わなくなるとどんどん失われていく。これは何とかしなければと思った」。伊良部字仲地出身の富浜定吉さん(84)が24年の歳月をかけて完成させた「宮古伊良部方言辞典」を出版した。宮古の地域言葉を一冊にまとめた本格的な方言辞典は初めて。収集した単語の見出し項目約1万7300語を収録したA4判の全編1124㌻の労作。



 「細かすぎず簡潔に、読みやすく分かりやすさを基本にした」。辞典は本文編と資料編、索引編で構成され、本文編は伊良部方言のかな表記見出しに、世界標準音声表記(IPA)、品詞名、意味の順でまとめられている。島のことわざや歴史を取り入れた豊富な例文、日本古語と琉球古語との対比も記載した。


 富浜さんは宮古や沖縄本島の中学・高校で40年余教職にあった。定年前に伊良部島内の小中高校生350人を対象にアンケート。日常生活で交わされる標準語の中で、使用頻度の高い基礎的な単語を50語抽出して、その方言の言い回しを問い、解答を求めた。正解した単語が20語に満たない結果に「例えば、お母さんの伊良部方言(=あんな)を『おかあ』だと思っていたりする。予想はしていたが相当のショックを受けた」と当時を振り返る。島の子供たちの中から地元の方言が衰滅していく現状に危機感が募り「何とかしなければ。誰かが認識を変えさせるような責任を果たさないといけない」として、定年後にその再生と保存継承を願い、自らの使命感と執念で辞典の編さんに取り組んだ。


 方言単語を発掘・収集するため、外出する際は常に筆記用具を準備し、寝る時も枕元に置き、思い浮かんだ言葉は忘れないうちにすぐメモする生活を約20年続けた。「通勤のバスの中でも、思い出したらすぐに書き留めた。しかし単語を集めるのに大分時間が掛かってしまった」。


 富浜さんは「島を離れていても郷里のことはいつも思っている。少しは恩返しができたかなとの気持ちもある」。そして「方言は島の宝。みんなうれしい時も悲しい時も言葉をかみしめながら生きてきた。自分の身近な問題として捉えてほしい」と訴えた。


 富浜 定吉(とみはま・さだよし) 1929年伊良部仲地生まれ。48年沖縄文教学校卒業。同年伊良部中学校教官。52年宮古高校教諭。80年那覇商業高校(定時制)教頭。86年宮古水産高校校長。90年定年退職。94年琉球大学・県立芸術大学非常勤講師。著書に「五線譜琉球古典音楽」(80年)、「五線譜宮古のあやぐ」(90年)。浦添市経塚在住。

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