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私見公論
2014年3月21日(金)8:55

農業と観光に思う/久貝 陽子

私見公論86

 私は今、畑に夢中です。楽しいです。

 宮古民謡に「海しゃがまやー海みゃーぎ、畑しゃがまやー畑みゃーぎ」との歌があります。しかし、農業をするまではその意味が理解できませんでした。それが、月日が経ってようやく分かるようになりました。一日でも畑へ行かないと、心が落ち着かないのです。

 私がなぜ農業をしようと思ったのかというと、主人が離職して、何をしようかと考えたときでした。軽トラに乗った老夫婦が畑へ向かい、二人で黙々と作業をしている様子を見て、老いてからでもできるなあ、仲睦まじそうだね、私もそのように年を重ねていけたらいいねとの思いからでした。

 ところが現実は…。雨の日風の日泥まみれ、日焼けも大変。女性にとって日焼けが一番怖い! おまけにサラリーマンに比べて収入が…。「農業しや物ふぁいん」という言葉を耳にしますが、現実を感じました。計画性も資金もハウスもなく始めたのですから。

 しかし、「人はパンのみでは生きてはいない」と何かで読んだことがありましたので、よし頑張ってみようと試行錯誤の毎日でした。最初はアロエを植えました。これなら素人もできるとの考えでした。次にノニの木を植えました。これは台風さえ来なかったら大きな収入になったと思いますが、今も奮闘中です。次にオクラです。水なし借地で植えたので、水まき作業に追われ採算が取れず赤字でした。やっと地下水のある畑を借りることができ、しみじみ水のありがたさを実感しています。そして、JAの勉強会と仲間たち、専門書のおかげで少しずつ前へ進みつつあります。オクラの他にインゲン豆、玉ネギ、その他いろいろと植えています。失敗も多々ありますが、楽しいです。楽しさの裏にある仲間の支えはとてもありがたいものです。

 つらいことばかりではありません。土の匂い、鳥の声、それに野菜たちは、人の顔が違うように形、色、花、香りまでも違い、感動がいっぱいです。オクラの花、インゲン豆の花が咲いたとき、感動で短歌の一句もできました。

 「初なりのオクラを夫と数えつつ額に流れる汗を拭きおり」
 「大宇宙の神秘を思う大潮に合わせて咲けるインゲンの花」

 そして、自分の手で育てた野菜は格別おいしくてたまりません。食卓がミネラルたっぷりヘルシー料理で笑顔いっぱいです。

 また、私が詩を書くと主人が曲をつけ、野菜の歌もできました。「オクラ讃歌」「マンゴーの歌」…。CDも工面して作りました。宮古島野菜・果物の応援歌になるといいなあ、全国にPRできたらいいなあと思っています。チャンスがあれば、JAはもちろんあちこちで歌わせてもらっています。遠くは大阪でも歌わせていただきました。子供たちが覚えやすいようで、先日もお葉書を頂きました。「宮古島産マンゴーだよ」のフレーズを5歳の息子が口ずさんでいるよとのことです。うれしいですね。

 ある日の農作業中にはこんなこともありました。観光の方から声をかけられたので、理由を聞くとマンゴーを買いたいとのことでした。そこで知り合いの畑(ハウス)へ案内しました。そのような出会いからその方たちと友達になり、野菜やら果物、特産品を送るようになっており、今では夏は海にゴルフ、冬はキビ刈り体験にと来島され、友達も次々とたくさん連れてきます。

 このような体験から私はこう思います。島の野菜、特産品をもっとPRして観光に結びつければ、農業と観光が一体になって、島が活性化していくのではないでしょうか。

 その一農家そして応援隊になりたいと思いながら、今日も畑に夢中です。合掌

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