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行雲流水
2014年9月18日(木)8:55

「先住民族」(行雲流水)

 沖縄の人々は「先住民族」である-国連の人種差別撤廃委員会が今年8月に発した見解だ。沖縄の人々は、アイヌやインディアンと同じなのだろうか。疑問が残る

▼古代史の世界では、日本民族自体を「先住民族」だとする説もある。異文化を持ち込んだ渡来人たちに征服された民族だというわけだ。民族の定義でさえ諸説あるなかで、同委員会は「世界の先住民族の数は5000を超える」としている。どうやら同委員会がいう「先住民族」とは「近代国家の成立過程で〝いじめられた〟と思っている住民集団」のことのようだ

▼明治維新以来、日本も近代国家の仲間入りを急いだ。国境を画定し、制度や習俗を改め、言語の統一を図った。「方言札」騒動は全国各地にあったし、世替わりの混乱は各地、各層、各人に及んだ。今は昔の話だ

▼4年前、同委員会は「沖縄への米軍基地集中は現代的な形の人種差別だ」と指摘した。だが、今回は触れていない。現地沖縄では、「受忍限度を越えている」「まずは普天間の危険性除去だ」と論争している。沖縄の地理的位置に由来する悩みだ、とも思えるのだが

▼歴史認識も基地問題も、いろんな要因がからみあった〝もつれた糸玉〟のように見える。それを解きほぐしてみせる人智も、一筋縄ではいきそうもない

▼「アンチューキャー ヌ ミャーク」(そうしているうちの宮古)との方言があった。「時が解決する」との意味で使われていたように記憶する。多様性を認めておおらかに生きる先人たちの知恵だったのかもしれない。

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