泥を塗って厄払い/島尻で「パーントゥ」
国指定重要無形民俗文化財の奇祭「パーントゥ」が3日、平良島尻地区で2日間の日程で始まった。仮面をかぶり、体中に泥を塗ったパーントゥ3体が、集落内に出現し、住民や観光客に泥を塗り厄払いと福を招いた。
午後5時すぎ、集落のはずれにある「ウマリガー」(生まれ井戸)で、集落の青年3人がつる性の草を巻き、泥を塗ってパーントゥに変身。集落内に姿を現した。
パーントゥが出現すると「来たぞー」と参加者らは騒ぎ立てた。住民や観光客らは泥を塗られまいと「キャー、ウヮー」などと悲鳴や歓声を上げて集落内を逃げまどった。パーントゥは逃げ回る子供や参加者らを追いかけ、容赦なく泥を塗った。
異様な形相をしたパーントゥの出現に、火が付いたように大声を上げて泣く幼児や、保護者に抱かれた子供は逃げることもできずに、顔を保護者の肩に埋めて泣く姿が多く見られた。
パーントゥは新築の家にも上がり込み、壁や柱に泥だらけの体をこすりつけるなどして、泥を塗り厄払いをした。
東京の町田から観光で訪れていた太田多衣子さんは「初めての経験だけれど、とても面白い。泣いている子供たちがかわいかった」と参加した祭りの感想を話した。
パーントゥ 数百年前に、島尻でクバマと呼ばれる海岸に黒と赤の仮面が漂着した。
村人は、この仮面は海のかなたから訪れた来訪神と崇敬した。男が仮面をかぶって集落内を駆け回ったのが由来と伝えられている。