「島ふつ」を次世代に/宮古方言の特徴など学ぶ
記念講演とシンポ開く/富浜氏とパネラーが提言
宮古口(みゃーくふつ)を絶やすことなく次世代に伝えようと、「宮古の方言に関する講演とシンポジウム」(同実行委員会主催)が5日、県宮古合同庁舎で開かれ、大勢の市民が失われつつある「島ふつ」の話に熱心に耳を傾けた。宮古水産高校校長などを務め現在、宮古方言の研究に勤しみ、「宮古伊良部方言辞典」(沖縄タイムス社刊)などを出版した富浜定吉氏が「宮古の方言を語る」と題して記念講演を行った。第2部のシンポジウムでは仲宗根浩二氏をコーディネーターに4人のパネラーが「子どもと親の方言力をいかに高めるか」をテーマに意見提示した。
記念講演で富浜氏は、方言を採取し収集する際には「平仮名表記」ではなく「カタカナ表記」にし、できるだけ簡潔に記録する手法などを紹介した。これらの手法が富浜氏が辞典を編さんした際に役だったことなどを説明し、方言辞典を作るときの4原則などについて解説を加えた。
富浜さんは宮古方言の特徴として「無声化」「語頭促音」「口頭破裂音」「格助詞の使い分け」-などの専門領域に及ぶ文法的な説明を行った。
その上で、富浜さんは「言葉という貴重なものを残しておくことは非常に大事。宮古方言は地域によって、単語や発音が異なり、大神方言や水納方言は今や危機的な状況にある」と述べ、各地域において、方言辞典を作ることを提案した。
第2部では「第21回鳴り響ゅんみゃ~く方言大会」で優良賞を受賞した仏出身で京都大学大学院で宮古方言を研究するセリック・ケナン氏が発表を行った。ケナン氏の発表の後、仲宗根氏をコーディネーターにシンポジウムが開かれ、ケナン氏、長崎光義氏(元県教育庁指導主事)、砂川春美氏(市文化協会副会長)、与那覇光秀氏(エフエムみやこ取締役)の4人のパネラーが、方言を使う日常的な場面や、大事にしたい言葉など、それぞれの立場から意見提示した。
このうち砂川氏は「友人との語らいの中で方言はよく使う。古くからある宮古の格言など、んきゃーんじゅくを大事にしていきたい」と述べた。シンポジウムでは地域の言葉を残し次代に引き継ぐためには、各地域の学校が主体的になって方言の教育に資すべきなどの共通した意見が出された。