農業の可能性探る/宮古地域農林水産業推進会議
農家ら研究の成果発表/牛の削蹄メリットなど紹介
宮古地域農林水産業振興発表会(主催・宮古地域農林水産業推進会議)が13日午後、県宮古合同庁舎で開かれた。生産農家や関係団体の職員がサトウキビ、施設園芸、畜産など各分野における研究・調査発表を行い、牛の削蹄に伴う経済的メリットや規格外マンゴーの可能性に触れた。参加農家らは発表に聞き入り、農業の魅力を再確認した。
この発表会は、各分野における研究・調査や実践報告を踏まえ、宮古の農林水産業を多面的かつ包括的に捉えて今後の振興に生かしていくことが狙い。
生産農家ほか県宮古農林水産振興センター、農業研究センター宮古島支所、宮古島市農業委員会、多良間村、県農業共済組合宮古支所などの職員がそれぞれの分野で発表を行った。
共済組合宮古支所の砂川仁志さんは「削蹄されていない牛はストレスを抱えて健康被害をもたらす」などと指摘。肉用牛競りに上場される子牛の12%しか削蹄されていないことを懸念材料とした。その上で「購買者からは削蹄をして出荷してほしいという強い要望がある」と強調。削蹄に伴い立ち方が良くなり、輸送中の肉量の減少や肉質の劣化防止にもつながるとして削蹄の実施を求めた。
削蹄代金は子牛1頭当たり2400円だが、ヘルパー組合を利用することで補助金の交付があり、1頭1258円で削蹄できる経済的メリットも紹介した。
生産農家の荷川取広明さんは肉用牛増頭に向けての取り組みを発表。畜産経営者として▽市場価格の低迷時でも価格に影響しない繁殖母牛の改良▽生産率の向上のため、子牛の超早期離乳の導入による事故率の低下▽畜舎の衛生管理▽良質粗飼料の生産確保-の徹底に努めているとした。
宮古農林水産振興センター農業改良普及課の山城梢さんは、規格外マンゴーの活用促進を訴えた。起業家の育成および商品開発、販売促進に関する各種取り組みを報告した上で、規格外果実の付加価値を向上させながら「農家所得の向上につなげたい」とまとめた。
このほか、サトウキビの植え付け体系別の品種の適応性や多良間村における環境保全型農業、そば栽培の現状と展開などについても発表があり、参加農家らがそれぞれの発表を聞きながら研さんを積んだ。