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行雲流水
2014年12月16日(火)8:55

「今年の漢字は『税』」(行雲流水)

 一字を選び、その年の世相を表す漢字として、今年は「税」が選ばれた。国民が、生活に直接影響を与える「税」に大きな関心や疑問を持っていることの表れである


▼納税は国民の義務である。だからこそ、税制は公正なものでなければならない。以前は、累進課税と法人税によって、収入相応に税金が負担されていたが、現在は、消費税導入によって、間接税収が増え、企業の国際競争力をつけるということで、法人税率が下げられてきた

▼消費税の問題点は、低所得層に負担が重くのしかかるという逆進性にある。例えば、1カ月の支出が25万円の家庭では毎月2万円の消費税を払っていることになる。富裕層にとっては何でもないだろうが、低所得者層にとっては重い負担である

▼ところで、消費税を導入して以降、国民が支払った消費税額は224兆円で、同期間内に法人税は208兆円減税された。消費税の総額とほぼ同じ額の法人税減額である(早稲田大学・田村正勝)。企業の収益が増えれば、賃金が上がり国民生活が良くなるということだが、そういくかどうか。企業の内部保留は年々増え304兆円に達した

▼租税特別措置等の大企業優遇税制の恩恵を受けてトヨタのこの5年間の納税額は「0」である。その間、株主への配当は1兆円を超えた。一方で、赤字の企業にも課税する「外形標準課税」の拡大に経営の厳しい地方の中小企業は警戒している▼国の役割のひとつに所得の再配分がある。国民大衆の生活を豊かにする税制が強く求められる。

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