04/19
2024
Fri
旧暦:3月10日 赤口 壬 
行雲流水
2015年3月19日(木)8:00

「遊び心」(行雲流水)

 中城城址の入り口に大城という集落がある。道路沿いには花や焼き物が並び、道行く人の目を楽しませている。老人クラブに似た「花咲爺の会」の活動成果だという

▼定年退職者がヒマをもてあそび、缶ビール片手に寄り合って雑談していたのが始まり。園芸の好きな人がいて、花の育て方の奥深さを話した。各人が触発されてプランターで挑戦しているうちに、品評会の話になり、自宅前の道路が常設展示場になった

▼陶芸に凝っている人もいた。窯をつくり、土と炎の謎解きに夢中。各人の憶測が加わり、とうとう素人の試し焼きに発展、試作品が通りに並んだ。が、駄作ぞろいだった。レベルアップを図るために県立芸大生の作品を借りてきて並べてみた。そのうち、芸大生が自主的に作品を持ち込むようになったという

▼遊び心で名付けた「花咲爺の会」だが、〝群盲象をなでる〟評論会になりがちだった。そこで適宜、専門家を招いて話を聴くことに。園芸や陶芸だけではない。川柳の先生には「ユーモアと皮肉の差」、酒屋の工場長には「酵母菌が好む温度」、スーパーの店長には「売れる商品、売れない商品」などのテーマを設定して招く。ただし、謝礼はなし

▼ビールを飲みながら30分だけ講話を聴いたあと、1時間ばかり懇談する。ときには素人質問に専門家が答えに窮し、専門家の学びの場になることも。皆が仲間になるという

▼ここには、進取の気性が息づいているようだ。ふと、このスタイルは各地・各職場でも応用できるのではと思ったが、どうだろう。

カテゴリー一覧

ID登録でパソコン、タブレット、スマートフォンでお手軽に!