2015年3月28日(土) 8:55

苦しみ、悲しんでいる人を慰める

苦しみ、悲しんでいる人を慰める、最も適切な方法は、共に寄り添う沈黙である
沖縄国際大学名誉教授 福里盛雄


1 私たちの人生は、苦しみ悲しみの連続でもある。

 私たちは生きていく過程で多くの苦しみ悲しみに遭遇する。心身に関する病気、入学試験の失敗、就職試験の失敗による苦しみ悲しみは、多くの人が経験しているのです。自分の難病は回復するだろうか、という不安と、もしも回復しなかったら、自分の将来、家族の生活はどうなるだろうかという悲しみ苦しみ。希望するこの学校に入れなかったら、私の未来はどうなるだろうか、といろいろと詮索して思い悩み、悲しみがこみ上げてきます。その苦しみ悲しみを自分で解決して生きていく力を持っている人も中にはいます。しかし、人間はそれ程、強いものではありません。誰かの助け、慰めと励ましの言葉を必要とします。また、人間には人の苦しみ悲しみに対して同情心を抱き、何とか慰め励まして、元気を取り戻してあげたいという本能があります。そのためにいろいろとアドバイスの言葉を与えるのです。


 例えば、難病の人に対しては、世の中には難病であっても、「健康な人たちよりも幸せに生きている人もいるんだよ」と励ましたり、入試に失敗して失望している者に対しては、「一度の失敗ぐらいは大したことないよ、私なんか3回目で今の学校に入れたのよ」と慰めたりします。就職に失敗して悲しんでいる人に対して「そのうちに良い仕事が見つかるよ」と励ましたりします。これらの慰め励ましのことばは、苦しみや悲しみの中にいる人の心や感情にどれほど感動を与えるのでしょうか。大変疑問を抱きます。
 自分の経験や単なる観念的な理論では、深い悲しみ、苦しみの中にいる人の心は満たされないのです。数々の困難や苦しみ悲しみを乗り越えて生きてきた人生の経験者は自分の経験から、弱気にならないで、勇気と自信を持って強く生きることを助言します。現在、苦しみ悲しみの中にある人には、その経験論は、頭では分かっているけれど、言われることを実行する心、感情が湧いてこないのです。


2 深い苦しみ悲しみの中にいる人を慰める適切な方法は


 苦しみ、悲しんでいる人を、励まし勇気づける適切な方法は、その人を愛のまなざしで見つめ、その人に寄り添う沈黙であると考えます。愛の眼差しで見つめ寄り添う沈黙とは、その人の回復を心から祈り、その人の現状の苦しみ悲しみを共感することである。
 その適切な例が旧約聖書のヨブ記2章11節から13節にありますので、その例を説明したいと思います。
 ヨブは、信仰心の深い人でした。悪魔が神の許しを得て、彼の信仰心を試すために、彼に多くの試練を与え、ヨブの全財産を失わせ、彼の身内をも死別させ、さらに一人ぼっちの彼の体全体もできもので、苦しめました。彼は、見間違いされるほど全く別人のような姿に変わってしまったのです。彼の友人たちは、そのことを聞いて、彼を慰め励ますためにやって来ました。ところが、彼の痛み、苦しみがひどかったので7日7夜、一緒に寄り添っていたが、誰一人慰め励ましのことばを一言もかけなかったのです。友人たちは、7日7夜沈黙のままであった。それは、ヨブの苦しみ悲しみがあまりにもひどかったからである。もしも彼の友人が、苦しみの原因や悲しみの原因を述べたり、彼らの知識に基づく経験や体験を参考にするように話しかけたら、ヨブの痛み苦しみの感情は、本当に癒やされ励まされただろうか。私はそうだとは考えません。友人たちの寄り添う沈黙の態度こそ、悲しみの中にいる人を慰めるために、私たちが学ぶべき方法ではないだろうか。

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