2015年4月29日(水) 8:55

人間は他の哺乳類動物より一年早産である

人間は他の哺乳類動物より一年早産である。そのために幼児教育が大切である
沖縄国際大学名誉教授 福里 盛雄


1 一年の早産の理由とその効果


 アドルフ・ポルトマンは、人間は他の哺乳類動物より一年生理的早産であると言っています。確かにポルトマン氏が指摘しているように、他の哺乳類動物は生まれて数時間もすれば、立ち上がり、歩くことができるようになります。そして母親のお乳を自分で探して飲みます。


 ところが、人の子は、これらのことを自分でできるようになるまでには、約1年の月日を必要とします。ポルトマンが人間は生理的に一年早産であるということが理解できます。人の子の一年は、多くのことを他人に依存せざるを得ないのです。人の子の一年は、ほとんどが親をはじめ他人に依存して成長していく受け身の生活であると言えます。人間の子は一年間は受け身ですから、親をはじめ他人の言葉や行動をまねして育って生きていきます。
 例えば、鶯(うぐいす)の幼鳥は、親鶯の囀(さえず)りを聞いて、最初は親鶯のようには上手には囀れないが、練習の積み重ねによって次第に上手に囀ることができるようになります。ライオンの子は親ライオンや仲間ライオンの鳴き声をまねしてライオンらしい鳴き声ができるようになるのです。また、他の鳥類がそれぞれ独特の囀りをするのは、それぞれの親の囀り方をまねしているからである。
 そのように考えると、私たち親は、その生活に対して責任ある態度をはっきりと示さなければなりません。親が変われば、子も変わることを深く認識する必要があります。格言にあるように、「子は親の背中を見て育つ」ということの真理を実感いたします。


2 一年間の受け身の生活の効果


 親をはじめとして多くの他人から優しくされ親切にされて、自分の存在が他人から愛されていることを実感するのです。そして、自分を好きになり他人を信頼し、そして他人を愛することの訓練を受けて一人前の社会人として成長していく力を修得するのです。
 私たちの創造主である神は、人は一人では生きていくことは不可能であることをご存知ですから、自分を愛し、他人を愛し信頼して共存していくようにと創造しました。人の子の受身的一年は、「基本的信頼」の獲得期間である、とエリク・エリクソンは言っています。(柏木哲夫「いのちへのまなざし」参照)。
 この受け身の一年は、私たち人間の幼児にとっては、重要な期間だと思います。その期間に私たちの将来の人格の土台が築かれると言っても過言ではありません。
 私たちがよく聞かされている、「孟母の三遷」の話は、人間が幼少の時は、周囲の環境にいかに左右されやすいかを教えています。最初は孟子の母は、墓の近くに住んでいましたが、その子供の孟子が死人を葬る人のまねをするので、これではいけないと、今度は市場の近くに住居を移しました。ところが商人たちの取り引きのまねをするので、これでは、自分の期待する人格者にはなれないのではないか、と学校の近くに住むようになったら、孟子は今までとは変わって礼儀正しく人から尊敬される子に成長したというのです。
 この話は、孟子の母が、人に愛され、社会に貢献できるような人格者になるために、良い環境を選択するのにどれほど知恵を用いたかが、理解できます。私たち親も子の「受け身の一年の期間」が置かれた意味を十分に理解しなければなりません。
 幼児教育の重要性が叫ばれているが、なぜ、幼児教育が重要なのか、幼児教育の内容とそのやり方を正しく理解し、人間の基本的性質に立脚して施工されないと大きな過ちを犯すことになりかねない。私たち親は、誇りと責任を持って幼児を育てたいものです。

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